読書録

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捏造の科学者

捏造の科学者 STAP細胞事件

捏造の科学者 STAP細胞事件

STAP細胞事件を取材記者の立場から克明に追った本著は、自殺した笹井氏とのメールのやり取りを含め、どうやって取材が行われ、記事になっていくのかということを明らかにしている。さらに、ブログやツイッターなどネットで様々な情報が飛び交うなかで、メディア環境の変化とソーシャルによる情報共有のスピードの早さというのも実感させられた。著者は率直に既存メディアどうしの抜いた抜かれたの実態と思い、ネットについての見方など語っている。


出版した文藝春秋のサイトに目次などあり→ http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163901916


メディア取材関連でいくつか以下引用
◇(2011年のテラトーマの画像に酷使と指摘)日曜日にネットのチェックをしていなかったことが悔やまれた。p66
◇3/10午後7時のNHKトップニュースで共著者の若山山梨大教授が論文の取り下げを呼びかけたことを抜かれる→私は痛恨の思いに唇をかんだp67
◇なぜ、メディアに情報が寄せられるのか。それはCDB内外に、理研の対応への不信感が渦巻いているからにほかならない。…後手に回った対応や隠蔽体質…社会の信頼に、取り返しのつかない損害を与え、天そんな危機感を抱いている研究者が少なからずいるからこそ、メディアに情報提供する人が現れるのだp224
◇5/21夜午後7時のNHKニュースでCDBによる全画像調査の結果の一部を報じ、少々計算違いの事態が生じた…すでに入手していたが他社が報じたとなれば日を置くわけにはいかない。p227
◇取材先の言葉「須田さんには、日本の科学のために頑張ってくださったことを非常に感謝しております。たぶん理研には相当睨まれますが、どうぞ記事を書いてください」p248
◇6/3夜、NHKはSTAP細胞から樹立されたFI幹細胞に関する結果を伝えた。翌4日には日本経済新聞の朝刊一面に小保方氏が主論文の撤回に同意したという記事が掲載されたp253
◇6/11NHKが昼のニュースで遠藤氏のSTAP細胞の解析結果を報じた。NHKにはあと一歩のところで先を越されたことがそれまでにもあったが、正直言えば、このときほど悔しい思いをしたことはなかった。
◇疑惑に関する情報は、ソーシャルメディア上で共有され、徹底的に分析、議論された。ネット上という公開の場で絵、二度目の「査読」を受けたと言える。新聞など既存の一般メディアは、それらを後追いする形で報道することもたびたびあった。関係者への独自取材が進むにつれ、ようやくネットの情報を上回る「新事実」を報じるようになったが、当初はネット上の情報を追いかける形が多かったとも言える。p377

{3/9-15読了、記入は20}