読書録

読書整理用のダイヤリーから移行しました19/1/26土~

本著では、危機的な状況にある地方の中で、地域住民主体で活性化にとりくんだ3つの地域を紹介している(p10)⇒
1)「国内指折りの高出生率を記録した」ことのある長野県下條村
2)「消滅可能性日本一」と名指しされた群馬県南牧村
3)「アートの棲むまち」と称された神奈川県の旧・藤野町(現・相模原市緑区の一部)

副題にあるとおり『地方は「人」で再生する』ことを、各地域での取り組みを知って実感する。とりわけ下條村の場合、補助金を頼るより、自らの力で工夫し、民間での研修などを通して職員がやる気と能力を発揮することで変わる可能性を示唆している。平成の大合併が進んでいたころは、合併を進めない方がおかしいというような風潮もあったが、下條村の取り組みなどを知ると、地域の再生は違う要素が多分にあることがわかった。先に稲盛氏の「生き方」を読んで感じたが、地域や組織を支える人たちの『考え方』というのは、極めて大切なのだと思う。


出版した集英社のサイト⇒ http://shinsho.shueisha.co.jp/kikan/0804-b/

著者が紹介したダイヤモンドオンラインの記事⇒ http://diamond.jp/articles/-/36866


備忘録としてポイントをいくつか引用(下條村
・1992年7月に民間会社の経営者・伊藤喜平氏が僅差で当選p23
上下水道の整備で補助金のつく国策ではなく、コストの安い合併浄化槽に変更(議長時代1990年)
・ホームセンターで職員研修p43後に、お役所仕事から脱皮
・総務・振興・福祉・教育委の4つに統合し、職員数は51人から39人で少数精鋭にp46
・少額の道路補修は地域で直す資材支給事業で、当初反対も額が5分の1、スピード感で広がるp55
・若者定住促進住宅を国の資金を使わず独自の入居基準で整備p67
・高卒まで医療費を無料に、保育料は全国の半分など手厚い施策p69
平成の大合併アンケートで反対多数、2004年に自立宣言p76
ハコモノは急な国の補助金助成制度にスピーディに対応して交付金を獲得し作るp80


著者の最後のまとめを引用p220:
地方創生を導くキーワードは「ひと」「地域」「つながり」「循環」「自給」「共存」「多様性」「楽しむ」といったところではないか。疲弊した地方の再生に今、最も必要なものは、大きな何ものかに安易に依存せず、できるだけ地域(自分たち)で自立を図ろうという意欲と覚悟、そして実際の行動である。日本の隅々を四半世紀以上、取材して今、つくづくそう思うのである


{12/13-16読了、記入は27}