読書録

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選挙ってなんだ?

NTTの会社員から市議、そして再選を果たした35歳の若き市長が語る選挙の実態と制度改革の提言は、既成の概念にとらわれず、諸外国との比較も交えながら、当を得ていると感じた。新聞報道の中間情勢記事や応援演説の顔ぶれで当落が予想できるなど、選挙に関わったことがある関係者なら知っていることだとは思うが、実態が良くわかる。また、若い人に政治に関心をもってもらい、未来に向けて世の中をより良くしていくために、選挙に参加を呼び掛ける姿勢にも好感が持てる。「(立候補の動機)自分の住む街や国を良くしたい。自分自身の納得のいく形でこの街やこの日本で暮らし続けたいp5」「世の中を良くするための第一歩。それは、みなさんが選挙の本質をよく理解し、候補者を常日頃から吟味し、積極的に参加することから始まるのですp124」


本著の目次などについては、出版したワニブクスのサイト⇒ http://www.wani-shinsho.com/book-detail.php?id=116


印象に残ったポイントの概要を以下に引用する。
選挙公報のネット掲載を企画したが認められず、東日本大震災を契機に可能になった。p24
◇SNSでつながることは握手に近く、多くの市民の意見交換ができるp32+一次情報を届けることが可能で、これを使わない手はないp136
公選法の問題は、短すぎる選挙期間、高い供託金、戸別訪問の禁止など。二院制でねじれは制度の問題(同等の権限は日本とイタリアぐらい)であり、参院を各分野の有識者によって議論を深める場とし、欧州のように地方首長も参加させ国と地方のあり方を審議する形にすれば、地方首長と国会議員の兼職も検討に値するp38-p65
◇駅前街宣は「知名度ゼロの状態でたくさんの人と会い、支持を得るp100」は最重要で絶対に通らなくてはいけない道。優しくされる前に厳しい中で、伝えたいことを伝える。投票権がないからといって学生や子どもにビラを配らないのもおかしいp162
◇『「地元での活動」と「政策研究」のバランスp127』が課題で、研究開発費と広告宣伝費との関係をたとえる。冠婚葬祭で票が増える現実と理想のギャップp172もあり、地域行事でお祝い金を出すことが公選法上禁止されているのに評判になることは、きっぱり絶たなくては「ならない。
◇ネクタイの色で、強い意志、決断をアピールしたいのであれば赤、冷静さや温和さをイメージさせたいのであれば青。オバマ大統領も選挙活動では赤、当選後は青。
◇意見を伝えて「貴重なご意見、ありがとうございます。承っておきます」という返答なら、期待できないp156。しっかり聞いたというだけで便利な言葉だが…


最終章の言葉からそのまま引用p177
「政治の可能性をもっと信じてほしい。可能性を引き出す政治家の必要性をもっと感じてほしい。そんな政治を見出す選挙というものの重要性をもっと感じてほしい。政治不信や政治過信を超えて、等身大の政治を見つめ、選挙に臨んでいただければと思います」



{1/1-11読了、記入は11}