読書録

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マスコミが伝えないネット選挙の真相 (双葉新書)

マスコミが伝えないネット選挙の真相 (双葉新書)

マスコミが伝えないネット選挙の真相 (双葉新書)

ネット選挙解禁で変わったのは、ひとことで言うと「選挙期間中もインターネットの更新が可能だp20」と著者はいう。今までの選挙では候補者のナマの情報がほとんど見られなかったことが、解禁になって明らかになり、参院選での各党の取り組みや中傷の効果などについて、考察を加えていく。この分野に関心がない訳ではなかったが、この本を通して、著者が運営する選挙サイトがあることを知った。ネット系だけに、関連リンク先をまず以下に。


出版した「双葉社ホームページ」⇒ http://www.futabasha.co.jp/booksdb/book/bookview/978-4-575-15417-7.html
著者のtwitterhttps://twitter.com/VJtaka
本著で紹介されている著者の選挙総合サイト「ザ選挙」⇒ http://go2senkyo.com/
←確かに市町村の選挙日程までここまで詳しく出ているのは、珍しい気がする。


印象に残ったポイントの引用など以下。
◇選挙関連のIT費用(p25)で、
・A社は、サイト作成200万、月額管理10万、
・B社は、サイト月1回更新月額10万、週3回のFB投稿月額10万、
・C社は、選挙期間中の24時間動撮影が500万、
・著者の会社(p115)は、HP新規作成5万〜20万、更新を自分で行えばサーバー管理や24時間緊急対応で月額5千〜1万。全部無料にするには、自分が更新できるようブログ形式でサイトを組み、FBを始める。
◇ネット選挙解禁の意義は、投票率を上げ、カネのかからない選挙の実現、立候補の敷居が下がると何度も言っていたがメディアに取り上げらず。報道機関は会社というより記者や部署で記事の内容や質が大きく異なるp33
参院選で、自民は鉄壁なネット戦略、民主は免許をとらなければいけないのに歴史を学ぶような迷走ぶり、共産は「カクサン部」でイメチェンp38-53。対照的な三宅洋平(FB動画拡散し比例17万余)と伊藤洋介(浜崎あゆみと知り合いだが活用せず)p61〜、鈴木寛山本太郎ネットバトル(ツイッターでのデマ拡散)p65〜。安倍総理は、公示後はFB書き込みを減らし内容も「秘書です」など変え地方遊説など応援を前面にp132〜⇒
p135つまり『「細かな政策的な論語は選挙前にやっておく」そして「選挙期間中は細かな政策の論議はしない」「差し障りのない選挙活動だけ流す」、これが今後、選挙活動のスタンダードになっていくだろう』
◇ネット戦略では、1セキュリティ、2スキルアップ、3データ分析、4プロモーション(広報で良く見せるより魅力や主張を多くの人に伝える)、の4つの柱を考えるp95。ウェブサイトは店舗で過去現在未来が必要、ソーシャルは営業センターで他人任せでは失敗するp99〜。
◇FBは短期間でコアな支援者を集めやすいが、ツイッターは直前に初めても効果は少なく、チラシのようなもので、数だけでなく質も考慮に入れるべきp102〜。他人によるタグ付やツイートで効果もあることは2012年都知事選の時にすでにあり、津田大介氏のエゴサーチによる本発売関連リツイートで、批判記事も出して信用される効果もp165〜。
◇Videog(ビデオク)は、万葉倶楽部の高橋弘会長(s10生)が、ビデオをコミュニケーションの核にしようと開発した技術で、お年寄りもネットを使うp164。
◇ネットはブログやSNSなど「フロー」の面と、まとめサイトなど「データベース」の面があり、誹謗中傷やデマも「集合知」によって修正されていき精度があがるが、信用できるかどうかは見るほうのリテラシーが必要p177〜。


著者はまた、時代が変化した中での公選法改正を訴え、「選挙にかかるカネの総額だけ決めてしまえばどうか」と提案しているが、確かに一理あるような気がする。
また、さまざま引用される、世耕弘成著の『プロフェッショナル広報戦略』は、読んでおきたい本として記録しておく。


なお、2月9日に開票が行われた都知事選、ネットでの盛り上がりと実際の結果が違うという指摘があるが、投票権がないと各候補の主張や争点など、関心が薄れがちだが、ネットでもさまざまな試みが行われていた印象がある。
特に津田大介氏の『ポリタス』 http://politas.jp/ は候補者の発言データベースや、さまざまな識者からの見方が掲載されて興味深かった。とりわけ『「脱原発」はほんとうに争点なのか――トリックアートとしての都知事選』( http://politas.jp/articles/57 )は、なるほどという分析だった。
また、加藤登紀子氏らが呼びかけていた『選挙CAMP』 http://senkyocamp-tokyo.tumblr.com/ も、選択肢を選ぶうえで参考になるよう候補の討論動画を配信していたが、これを知ったのは、ハフィントンポストの配信記事だった。こうした動きについては、新聞などマスコミ=既存メディアというよりネットメディアやソーシャル系で、著者がタイトルではないが、情報の伝わり方が大きく変わってきた印象は強い。


{1/25-2/1読了、記入は11}