読書録

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家族の絆とコミュニケーション

家族の絆とコミュニケーション―ファミリーセラピーの視点

家族の絆とコミュニケーション―ファミリーセラピーの視点

うつなど精神症状の原因は、精神の病ではなく、人間関係における感情のもつれによる病だする、ボウエンの考え方を基本に、「家族システム療法」を説明している。ケースとして紹介される夫婦の会話などは、デジャヴとも言えるような実感があり、確かにそうだと頷けるところ多々あり。発行元から見ると自費出版なのか?この考え方が、いまの日本の医療の現場で主流になっていくのかどうかは注目したいところ。経験的に、精神医療の分野はきわめてさまざまな考え方、治療法があり、何が一番妥当性があるのか、よくよく見極めていかないといけない。「こころが病なのではなく、つながり方が問題p195」という視点は、確かにそういう面があると直観では感じる。


出版した湘南社のサイト⇒ http://shonansya.com/publish3.html#tyuumon


印象に残ったポイントは以下
◇p37:人間が男女のペアで子孫を残す生き物であることを考えれば、愛情が基本で結婚するのではなく、生物学的には3年から4年ぐらいしか持たない男女の関係を、その生物学的にプログラムされた期間を超えて長く続けていくために必要なものが愛情であるという見方が自然だというのが最近の研究の成果である

◇ボウエン家族療法システム理論は…家族内の関係性、特に情動の関係性に焦点をあてている。…三者間関係、そして少なくとも三世代の関係性に範囲を広げた視点を持っているp71、精神分析が個人ための理論に対し、関係性の理論p88、

うつ病で薬を変え改善しないと病名がつき長引く例があるが、例えば夫婦不和の原因と結果の医療モデルでは、個人の成育歴や認知の傾向を調べて、原因〜結果で診断し治療する。原因の特定が先で正常の状態に戻すことをめざす。一方家族療法=システム療法では、原因と結果が連鎖し、人との関わり方や両親や上司など人間環境を含む環境との関わりの中で見ていく。原因よりも全体像を大切にし、伝統的な心のケアとは異なるp116-131

◇家族療法で使うコミュニケーション理論は家族の絆を考えるp144。一番大事なことは口に出して語られないp152。カップルや夫婦の場合は、自分でも気づかない送信メッセージと、他者からの受信メッセージの意味のギャップを正確に理解することで問題が解決できる場合があるp155

◇ボウエンの概念から3つに絞って紹介p160〜
1個別性(独立性)と一体感:度が過ぎると根源は不安で同じ、カットオフとフューズ
2自己分化:↑バランスがとれている人=自分を客観的に俯瞰できる
三者間関係:夫婦の口論で、子どもや、酒、ゲーム、愛人、ギャンブルなど、人でも物でも“関係のない第三者”に荷卸しした先に依存することで不安解消・・なぜうつになったかではなくプロセスを観察。トランプのババ抜きで、なぜジョーカーを引いたのだではなく、どののように回ってきたかを観察する。後になってからがきつい。〜p187

◇p196:(家族の理想)問題があっても、けんかをしても、それを乗り越えて新しい自分や新しい家族の関係や形に変わっていこうとする力のある人の集まり。
たとえ、今、仲良くしていても、問題がなかったことにしたり、問題から逃避したりするという姿はこの理想からはほど遠く、それは幸せの象徴ではなく、単にするべきことを後回しにしている姿である。


{12/2-5読了、記入は6}