読書録

読書整理用のダイヤリーから移行しました19/1/26土~

悼む力  逝ったあの人へ、生きる自分へ

悼(いた)む力 逝ったあの人へ、生きる自分へ

悼(いた)む力 逝ったあの人へ、生きる自分へ


著者(あとうだ・たかし氏)には全く失礼な話ではあるが、ご本人が勘違いされたと本著にも書かれているように、麻雀小説で知られる「阿佐田哲也」氏(色川武大いろかわ・たけひろ)と混同していた・・テーマは悼む意味についてなのではあるが、色川氏への追悼文の中で、シャンポンの役満かリャンメンのホンイツかだと、原則はリャンメンでよりあがれそうな方を選ぶ、勝つためには楽しみむことをあきらめる(p32)というところで、うーん、自分にはできないかなぁ、など、勝負の厳しさとはそういうものかと感心した。悼むことで、生き方についても考えさせてくれた。


出版したPHP研究所のサイト⇒ http://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-81233-5

目次はセブンネットにあり⇒ http://www.7netshopping.jp/books/detail/-/accd/1106288366/


印象に残ったポイントを以下に引用しながら紹介。
◇p5:自分が死んだあと、親しい人たちが、こぞって、あるいは一人でも二人でも、−私を思い出してくれればいいなー命のはかなさに立ち向かえるかも知れない。死の恐怖に少しは抵抗できるかも知れない。

◇よく生きるのは読書が役立つ…(中略)…おもしろい本に出合えば、本当に楽しい。知識が広くなり、世界が広くなり、考えが多彩になり、深くなる。たった一人で楽しめる。いつでも、どこでも、楽しめる。p11

◇p22:井上ひさしさんの文学のモットーは“むつかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをゆかいに、ゆかいなことをまじめに”書くことであった。

◇(20歳で肺結核にかかり3年をサナトリウムで過ごしたことで)p111:私たちに与えられた自分自身を素材にして、文字通りかけがえのない一生を生きていくこと、それによって幸福をつかむしかない。…(中略)…他人を羨むことがなくなった。加えて大きな病気を患ったのだから、−人生は七割ぐらい満足できれば上等だなー…(中略)…結果としてそこそこの満足が得られれば、それでよし、良い意味での諦観が身についた。

◇人間として嬉しいのは「身体が丈夫p121」、苦しまずに死ぬには「長生きすること…ぽっくりとp126」、“ねば・べき”をやめてノホホンと生きる、ことができたか?p129

本著でさまざまな書籍もあわせて紹介されている。このうち、死生観、仏教など考えるにあたって示唆に富んだ一冊として触れている、遠藤周作氏の『深い河』については、今後読んでみたいと思った。


{10/4-5読了、記入は12}