読書録

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語りきれないこと

語りきれないこと  危機と傷みの哲学 (角川oneテーマ21)

語りきれないこと 危機と傷みの哲学 (角川oneテーマ21)

震災の現実を哲学はどう見ていくのか、なかなか難しいテーマではある。
ただ、優先順位を見極め、うまい話ではなくきっちりと本質を見極めていかないといけないと感じた。


出版したKADOKAWAのサイト→ http://www.kadokawa.co.jp/product/201109000186/

目次はセブンネットにあり→ http://www.7netshopping.jp/books/detail/-/accd/1106126776/


印象に残ったポイントを以下に引用
◇p25:被災地外にいる学者、評論家、報道の人間たちが、復旧、復興に向けて声高に様々なことを語りだす一方で、被災地の人たちは逆に言葉を失い、押し黙っていく。そんなプロセスが、並行して起こっていました。
◇p48:じぶんの存在、わたしの生は、わたしのものであるようで、実はもうわたしのものではない。彼が身代りに死んでくれたことで、自分はいまこの生を与えられている。だから、この残ったわたしの生は他の誰かのために捧げられてしかるべきものである…。そんな感覚を持つことで、死んだ大事な人だけでなく、たとえ赤の他人であっても、生き残った者として供養してあげようという気持ちも生まれてくる。こういう形で自分を立て直す人もいます。でもそれはなかなか大変なプロセスで、やはり多くの人が崩れていったんです。
p72:近代化は、「命の世話」のプロフェッショナルを養成し、それをソーシャル・サービスとしてやっていくという仕組みを整えていったのです。
介護施設の良しあしを見分ける方法は「大声のしない施設」→スタッフがケアしなくても他の患者など小さなケアがいっぱい散らばっているところ(p97)
◇p108:ほとんどが「見えない」のです。見えないなかで、この国の科学と技術への信頼も台無しになりかけています。→平田オリザさんによれば、話し合う前と後で、立場や考え方が変わったら負けになるのがディベート。変わらなかったら意味がないのが対話。対話は変わるためにやる(p132)→p142:科学者・技術者や行政関係の専門家と一般市民の間でディスコミュニケーションはかなり深刻になっています。→価値判断はわれわれがしなければならず、専門家と市民が対話を行わなければならない状況に(p151)
◇p166:(全体の目配り・軽重を見極めるまなざし)→「価値の遠近法」を身につけること…p82も)
何かある事態を前にしたときに、次の四つ、つまり
絶対に見失ってはいけないもの、手放してはいけないものと、
あったらいいがなくてもいいものと、
端的になくてもいいものと、
そして最後に、絶対あってはならないこと、
これらをとりあえず、見分けることができる、そんながん力を持つということです。


{9/4読了、記入は9/17}