読書録

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幸せの日本論 日本人という謎を解く 角川新書 K-21

 近代から現代にかけてさまざまな矛盾が噴出する中で、中心が無で何でも受け入れてきた日本が全体調和的で素晴らしいという、幸せな日本論。「日本が繁栄する時代は必ず再びやってくるp222」という。憲法9条についても、そういう矛盾超越的・理想主義的なものを包容するところが良いので、「普通の合理的主義・常識的な近・現代型国家憲法につくり直すp230」よりも、保持すべきという論になっている。ここまで楽観的に捉えて良いのかとも思ってしまうが、著者が引用する幸福学の内容には経験から納得する部分もあり、はてさて。


◇著者の言葉を引用
p120:日本の中心には、何も無い。言い換えれば、無常、無我、無私がある。これが、中心に自由と愛を持つアメリカとは対照的である。中心に、 無常、無我、無私があるからこそ、どんな新しいものを受け入れ、そして自分化していくことができる。無限抱擁です。理論武装せず、無邪気かつ素朴に受け入れ、あるときは勘違いし、あるときは曲解して、自分のものにしてきました。外部からやって来たものに、無限に抱擁し包容し、中心を変えないまま調和的に全体のバランスを変革することができる国、日本。その原型が、神話・神道の受け入れと、それに次ぐ仏教の受け入れであった、ということだと思うのです。


p163図6:欧米人に日本人とは何かを説明する手順:近代西洋の限界を認めざるを得ないことを示している事例として、素粒子論、複雑系の科学、文化人類学など
⇒近代西洋以降のやり方だけが正しいわけではなく、それは一つの世界モデルにすぎない。紀元前5世紀以前には、そうでない世界があった。それは、未熟だったのではなく、本質的だった。
⇒日本の特徴は、中心に 無常、無我、無私に代表される無があること←中心に無があるからどんな異質な文化も技術も受け入れ、自分化し続けることができる。スーパー・サステナブル


p211:全体が調和し共生する社会が理想的にうまくいけば、すべての者が活かされ、意味を持ち、幸福で幸せに向かう。すべてが意味を持つ。



発刊したKADOKAWAのサイト⇒ https://www.kadokawa.co.jp/product/301502001293



◇何度か引用される幸福学の成果、『幸せのメカニズム』
p200:各人が目標と夢を持ち、つながり合って、前向きに自分らしく生きることが幸せのために重要である
p216:幸せな人とは、金・もの・地位を手に入れた人ではなく、夢と目標、頼れる多様な友人と家族、楽観性、独自性、健康を持っている人



{2018/1/8-12読了、記入は1/18木夜}