読書録

読書整理用のダイヤリーから移行しました19/1/26土~

リタとウイスキー

リタとウイスキー―日本のスコッチと国際結婚

リタとウイスキー―日本のスコッチと国際結婚

原題は英書”Japanese whisky,Scotch blend ”で、学術研究書の体裁になっている。それぞれの事実や発言について、脚注で、リタと家族との書簡や会社財務資料など引用先が細かく紹介されていて、「マッサン」と「リタ」の史実に近いのかも知れない。
先の小説では、マッサンが英国から呼ぶはずだった技術者と同じ報酬をもらっていたという話が出てくるが、本著を読むと、これは本人が相当あとになって回想して記した内容で、当時の状況からは事実かどうか怪しいという指摘をしていることなど、興味深い。自伝の中で留学中に、カウン医師が自分を招いたと記述していることも、実は渡英する前に亡くなっていて、厳しい経済事情から下宿させたのだろうということも紹介している(p29)


出版した日本経済評論社のサイト→ http://www.nikkeihyo.co.jp/books/view/30137


目次については、国立情報学研究所(NII)が提供するリンクフリーの情報Sサービス Webcat Plusにあり(こんなサイトがあることを今回初めて知る)⇒ http://webcatplus.nii.ac.jp/webcatplus/details/book/2797117.html


また、個人のブログで、書籍を紹介しているサイト”今日の「マッサン」”あり⇒ http://moraten.blog.fc2.com/blog-entry-19.html


印象に残ったポイントや言葉をいくつか以下に引用。
◇p5:政孝・リタ夫婦にとっては、まさに苦労続きの人生であった。夫は何もないところからウイスキー事業を育てあげ、妻は外国人に対して拒絶的な日本社会で自分の居場所を見出さなければならなかった。夫婦は共に助け合ったが、それぞれの苦労は互いの理解を超えるものがあり、結局は自分自身で解決せねばならない問題でもあった。

◇p36:(リタの妹あて書簡1957/10/17)「老いていくというのは孤独なものです。けれど、私はこの人生を自分の意志で歩んできたのだということだけは、忘れたくありません」

◇p64:(寿屋による日本初国産ウイスキー「白札サントリー」発売1929(s4)/04/01の宣伝文句)醒めよ人!舶来盲信の時代は去れり
酔はずや人 吾に国産 至高の美酒 サントリーウヰスキーはあり!+
p93:鳥井自身も、実は優れたウイスキー・ブレンダーであり、鋭い嗅覚で知られている人物であった。(長男の吉太郎は1940年に若くして亡くなり、信一郎と叔父にあたる佐治敬三が支えてきた)

◇p117に、大日本果汁の1934年〜38年まで赤字額に記載あり p154にニッカウヰスキー株式会社の歩み、p161に財務状況あり

◇p140;(料理レシピのノートにある文章)昔の私には勇気があった 昔の私は大胆だった・・・でも今 また若くなりたいとは思わない 年をとるのも悪くない 幸せを感じていたい ただそれだけ」

◇p165:「ほたるの光」の曲名で日本人い歌われるロバート・バーンズの詩「なつかしい昔」+リタは香水をもらったお返しに詩集を送り、特に気に入っていたのは「真紅のバラ」(p189)


{7/20-24読了、記入は27}