読書録

読書整理用のダイヤリーから移行しました19/1/26土~

竹鶴政孝とウイスキー

竹鶴政孝とウイスキー

竹鶴政孝とウイスキー


巻頭に当時の写真が掲載されているほか、地図があり、とてもイメージしやすい。
また、『竹鶴ノート』が掲載され、当時の息遣いを感じることができる。
中でも、製造方法だけでなく、労働条件のことについて触れているのは、目を引く。

「こんな男が百年前にいたこと。そして当時としては珍しい国際結婚をし、生涯をかけてウイスキーづくりの夢を紡いだこと。本書を、竹鶴自筆の『ノート』を中核に、竹鶴政孝ウイスキーのかかわりをとらえた決定版としたいと思ったのは、そのためだ」という著者の思いがこもっている。

また、本人の自伝や参考にした小説は、かなり高齢になってからで信頼に足る資料とは言い難い部分もある(p12)と紹介し、イギリスの作家と同じように、事実を記していこうという姿勢に好感が持てる。

スコットランド留学についても、当時の攝津酒造の社長が、一人娘と結婚させ自分の事業を継いでもらおうと考えていたとして不思議がないと紹介している。(p27)


出版した東京書籍のサイト⇒ http://www.tokyo-shoseki.co.jp/books/80907/


印象に残ったポイントを以下
◇p11:政孝は自らを「ウイスキー一筋に生きてきた。その意味では(自分の人生は)一行で片づく男である」と語っている。

◇p16:1962年、英国のヒューム副首相が来日した池田に会った時、竹鶴と『竹鶴ノート』について、「一本の万年筆とノートで英国のドル箱のウイスキーづくりの秘密を盗んでいった」と語ったのは有名な話である。

◇p50:見事、政孝は銀貨、リタは指貫を切り当て、ただでさえ意識しだしていた二人は、ますます互いを意識するようになった。

◇p59にリタとウイスキーからの引用「年老いていくのは寂しいこと。でも私は、人生を自分の意志で切り開いたことを憶えておこうと思う」妹宛への手紙として、先の読書録とは違う表現なのは訳し方の違いか・・

◇p179竹鶴ノートより「要するに一般社員もできる限り仕事の迅速をはかり、より以上一日の効率をはかり、退出時間が来たら遠慮なく家に帰り、家庭をもつ者は皆々揃って楽しい夕べを過ごすというようになって欲しいと思います」


9/29から朝ドラで「マッサン」が始まった。ウイスキー関連の番組監修にも関わっているようで、関連書籍の紹介もあり、物語の背景を知るには最も適した一冊かも知れない。


{9/29読了、記入は10/12}