読書録

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琥珀色の夢を見る

琥珀色の夢を見る―竹鶴政孝とニッカウヰスキー物語

琥珀色の夢を見る―竹鶴政孝とニッカウヰスキー物語

十数年にわたり関係工場やスコットランドにもわたって足跡をたどり、所属していた出版社とものづくりの面で強く親近感を覚えたという著者だけあって、竹鶴政孝氏とニッカウヰスキーの歴史を、とても好意的に描いている。商品やポスターなどの歴史も随所に登場し、新スーパーニッカがポール・アンカのTVCMに登場したs52年に認知度が高まったことや、s55年に起用された谷村新司が『昴』をコマーシャルソングとして作詞作曲したということを、この本を読んで知った。


発売元のPHP研究所のサイト⇒ http://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=4-569-63352-8 (ただし在庫切れ重版未定とあり)

セブンネットには目次あり⇒ http://www.7netshopping.jp/books/detail/-/accd/1102077614/

なお、別の出版社から文庫版として発行されたもよう⇒ http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=16253


また、本著で登場する岡田正昭(当時 アサヒビール常務)の章に、対サントリーを意識して平成12年に「竹鶴12年ピュアモルト」と「竹鶴35年」を発売した経緯が紹介されている。p211-212「なんとかサントリーに一泡吹か褪せたい。どうしたらいいか?ニッカの強みは何だろうか?サントリーの弱みは?いろいろ考えて、結局、日本人として初めてスコットランドウイスキーづくりを学んで、余市という土地に蒸留所を作った竹鶴政孝が最大の資産だ、という結論になる。「よし、竹鶴政孝という人物を前面に出そう」となって・・」ということのようだ。


最後の方(p228-232)に、1969年4/11付けのニューヨークタイムスに掲載されたインタビュー記事から引用して、後継者に託した3つの課題が紹介されている。
1.「大企業になる必要はない」スコットランドでは、蒸留所は家族の中で何世代にもわたって継承されている。我々はこれを手本とすべきである。
2.「株式上場はしない」株式を上場せぬようにしてもらいたい。株主の利益のために妥協を強いられウイスキーの質の低下を招く
3.「ウイスキー造りの伝統を守る」新技術に惑わされず、古くからのウイスキー造りの技法は今も有効で、伝統を守っていってもらいたい
⇒10年後の業界がどうなっているか?という点についてもさまざま関係者が述べているが、今年がまさに、本著の発行から10年となった。

{9/12-16読了、記入は18}