読書録

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ブラック企業ビジネス (朝日新書)

ブラック企業ビジネス (朝日新書)

ブラック企業ビジネス (朝日新書)

弁護士や社労士が、無理な訴訟を経営側に持ちかけて単に長引かせて高額な報酬を得るという構図が、なんとも悲しい。直前に読んだWLBの考え方とは対極の企業の存在、いったいどうなっているんだろう。さらに、制度改革で大量に生まれた弁護士自体も、仕事が成り立たなくなる中で、ビジネスに組み込まれていく、というのは、あまりに悲しい。その点、アメリカでスラップ(SLAPP=市民参加を妨害するための戦略的民事訴訟:恫喝的訴訟)訴訟が問題となり、カリフォルニア州では1992年に反スラップ法が成立しているとうのは、ひとつの課題解決の参考になるのかも知れない。


出版した朝日新聞出版のサイト⇒ http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=15414


時間的余裕がなく、著者が「ブラック士業」としてまとめた内容を以下引用。
◇さまざまな工夫4つp156〜
1.裁判規模の拡大、2.裁判件数の拡大、3.事件の引き伸ばし、4.成功報酬の割合増大
◇弊害4つp159〜
1.法制度の形骸化、2.技術の問題、3.生産性の低下、4.富者の力の貫徹
ブラック企業の定義p193
「新興産業において、若者を大量に採用し、過重労働、違法労働によって使い潰し、次々と離職に追い込む成長大企業」


前著では衣料品販売X社と匿名だった会社が、今回は著者に通告書を送ってきたとして実名で掲載されているほか、「成長かさもなければ死か」という社長の言葉なども引用されている。また、居酒屋チェーンから福祉まで事業を拡大し選挙にも出たW社からも脅しともとれる通告書が届いたという。さらに、牛丼チェーン店のS社など、一般的には優良・成長企業と見られ、海外の安い労働力との戦いが続く中、経営戦略もあるのだろうが、「社会正義」はなんとか守ってもらいたいものだ。
さらに、自ら手法を記している(時間がトラブルを風化させるなど)として紹介されている、向井蘭弁護士の『社長は労働法をこう使え!』(ダイヤモンド社)などは、一度、読んでみたいと思うので、備忘録として記す。


{6/8-9読了、記入は翌日}