- 作者: 大友啓史
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2013/05/08
- メディア: 新書
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クリエイティブな作品を作ることができるのは、著者のような型にはまらず、仮想敵を作って(もしくは自分にふっかけて)喧嘩し、既成概念にとらわれず新しいものを創造していこうというタイプの人なのだろう。それにしても、新人時代の上司が良かったのかも知れない。逃げ回りながらスポットを紹介する旅番組を作ったり、ずっと床屋に通ってドキュメントを作ったりしても、「面白ければいいんだ(p20)」「もっとやれ、まだまだできるだろう」「上手なラブレターの書き方を覚えなさい(p37)」と“冒険を許され”ながら、才能を伸ばしていく。「ジャーナリズムとは、弱者の声を拾い上げること。本来だったら世間に声が届かない立場の人を声を拾い上げていくこと(p27)」を新人時代に叩き込まれる。著者が関わった「白洲次郎」「龍馬伝」いずれもさまざまな新しい試みが行われていたことも記されている。
著者は、残された人生の時間をどう使うかで、自分でマネジメントしてみたいという欲求が高まり、龍馬の生き方に触れて退職を決意した。題材については、パズルのピースが今の社会に欠けている、もしくは今の時代に必要ではないかという視点で選んでいるという。退職後の映画もヒットしたとのことで、未鑑賞なので見てみたい気になってきた。
概要は出版した、NHK出版トップページ(http://www.nhk-book.co.jp)
←個別ページに貼る場合は申し出なければいけないと規約にあり、
著者が書いている仕事上のヒントをいくつか引用して以下。
◇「都合のいい人」にならずに「都合の悪い人」になる…自分の意見をもって正々堂々と喧嘩し、他者と渡り合いながら結果としてお客さんに喜ばれるものをつくりあげることが責任を果たすということ。p15-16
◇取材相手との距離が縮まって個人と個人との関係になって、相手に心を開いてもらわないと「作品」と呼ばれるようなものは生まれない。生の現実、偶発性が持つ力はある。p33-35
◇UCLAの普遍的な物語の作り方のクラスで、聖書の学習、七つの大罪(傲慢、嫉妬、憤怒、怠惰、強欲、暴食、色欲)を乗り越え、神との契約に回帰するまでを描かなければならないp60、俳優演出の基礎として、リザルト(結果)演出は絶対やってはいけないことの一つ。学校でも正しい答えと言った瞬間に子どもはこびてしまうからp113
◇初めてやることにはリスクを伴うが、重要なのは、「一歩間違うと」というリスクを背負うことができるか、p108
◇「敵をつくらない仕事は仕事ではない」白洲次郎の父が放った言葉p167
◇現場ではそれぞれの主体性を重視する「オープンスタッフシステム」p177お題を出すことでスタッフは答えてくれるp180←ちゅらさんで気持ちを一つにする小道具:マリア像のロウソクが用意された
◇一つ一つの仕事を、新しいノウハウやテクニックを身につけるチャンスだと考え、無心で取り組むということが大切。p139
p199:どんな場合に置かれても、愉しむこと、ブレないこと、すべてをまず受け入れてから考えること、物事を本質をつかむため周囲とのキャッチボールを常にすること、相手を納得させるだけの武器を持つこと、覚悟すること、それは忘れてはいけないと思います。
{12/8-10読了、記入は15}