読書録

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テレビという記憶 テレビ視聴の社会史

テレビという記憶: テレビ視聴の社会史

テレビという記憶: テレビ視聴の社会史

世代ごとにテレビとどう関わってきたのか、アンケートやインタビューの手法を使って、詳細に分析が行われている。社会的に大きな出来事や事件は、テレビとともに記憶されてきたとともに、昨今のソーシャルメディアの普及で、大学生など若者とテレビとの関係も変化している。といったことが、5年にわたる研究成果として、明らかにされている。
目次については、出版した新曜社のサイトに掲載されていたので、リンク先を引用
http://www.shin-yo-sha.co.jp/mokuroku/books/978-4-7885-1329-7.htm


本書の内容は、「はじめに」の中で、概括が紹介されている。
◇第1部は集合的記憶に焦点をあて、いずれの世代にも10代や20代の記憶や思い入れが強い一方、アイドルとの関与には性差がある。
◇第2部は中高年層の意識で、退職後の男性は限られた分野の受動的な視聴、女性は効用を引き出す積極的な視聴を、また、40代は中学までは見て記憶に組み込まれるものの、中学以降関心が薄らいた。
◇第3部は大学生や中高生などの動向で、ネットで話題が共有されていく新しいスタイル、などが紹介されている。


今後の参考になりそうな今の動向についてポイントの概要を以下引用。
◇大学生は、集中してテレビを見る時間は減ったが、他メディアと並行して「ながら視聴」が増え、「わたし基準」というパーソナルな番組選択をしている。
◇テレビを見ながらツイッターをする学生は、意見を述べるより感情の表現や進行の実況を書き込むが、これは、誰と共有したい、自分とは異なる見方をしている人の意見を知りたい、という二つの理由がある。
ツイッターは個々人や生活情報を伝えるメディアとして存在感を示したといわれれうが、全体像を整理された情報で伝えたのはテレビで、公共的記憶の形成に果たす役割は依然として大きい。
◇情報メディアが多様化している時代だが、テレビは人々のつながりの基点を提供するという役割をどのようなコミュニティを対象に果たすのか、ネット配信とのバランスを含めて精査する必要がある。
◇各世代が得意とするデバイスからテレビ画面を媒介にして、コミュニケーションを図ることができたら、SNSが本当の意味で「ソーシャル」なメディアとなっていくのではないか。ツイッターのリアルタイム性が高く開かれたSNSの方が、より柔軟に対応できる。
◇テレビは若年層の間では、娯楽メディアとしての往年の熱狂失いつつあるが、ニュースは環境監視の機能が社会の維持存続に不可欠である以上、今後も中心的なメディアとして必要とされていくと思われる。



{10/21-25読了 記入は11/1}