読書録

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18歳選挙世代は日本を変えるか ポプラ新書 094

(094)18歳選挙世代は日本を変えるか (ポプラ新書)

(094)18歳選挙世代は日本を変えるか (ポプラ新書)

 テレビでコメンテーターとしてよく登場している著者が、18歳に選挙権が拡大した去年の参院選にあわせて分析した内容。インタビュー調査座談会の様子も収録されているが、若い世代のトレンドをよくつかんでいるように思う。


 不景気な時代を生きて来たこの世代の特徴として、「脱ゆとり世代」の先駆けで、1990年代初めにバブルがはじけデフレが長引いたことなので、「物欲はあまりなく、車やブランド品もあまり欲しくない、海外にあまり興味がない、お酒もあまり飲まない、恋愛には淡泊、無駄な消費や行動はできるだけ避け、そこそこ平和で穏やかな生活を幸せだと感じる」+さとり世代にも属するp30+マイノリティ意識が強いp32+ライン世代でスマホネイティブp35で密室空間、などが挙げられている。そして不安のタネは、就職や結婚p40.

 マイルドヤンキーと呼ばれる若者たちは、「できれば親や友達のいる地元に残りたい」と地元志向をもつp49

 政治意識として「機会の平等というのは与えるべきである。その結果、努力して差がついても仕方ない。しかし社会保障は充実させて、セーフティネットを作りましょう」という感覚を持っているp75


 「少なくとも現状では、日本は若者が政治的関心を失うほど大変恵まれているという面…人口構成上シルバーデモクラシーに陥って期待しても理想が実現されないという諦観からの関心の低下」と説明し、スゥエーデンに次いで政治への関心が低いp81+日本社会や日本の政治にある程度の安定感、安心感があることのあかしと言えるかも知れないp96、という点は、なるほどとも感じる。


発刊したポプラ社のサイト→ https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/8201094.html


 第四章で、若者の政治離れを防ぐにはとして、身近で実利的な情報p220、SNSの活用でも、「人間性やネタのアピール、ローカル情報の発信」などで、啓発するのではなく、共感を得られるようにすることなどを紹介p228し、低成長、成熟社会になると、大上段に構えて何かいわれるより、近い目線で身近な話を言われないと伝わりにくい時代p257で、嘘もどんどん暴かれるため、「正直さ」が問われることにもなるp258


 また、具体的なアイデアも列挙されているが、このうち「インターネット投票ができるように変えていくべき」p241については、台風で投開票が混乱した10月の総選挙を受け、野田聖子総務相が10月24日の閣議後会見で、電子投票やインターネット、マイナンバーカードを活用した取り組みの研究が急務だと指摘したことが報じられていて、今後が注目される。


 終章で著者は、「あまり偏見を持たず、フラットに判断しているように思え…いいと思ったものを選択できる土壌があり、よいものを素直に受け入れられる柔軟性を感じ…変化への大きなチャンス…本当の意味での民主主義が初めて実現できる可能性を秘めている世代が誕生したのかもしれません」p266としているが、確かに希望をもって良いのではないかとも思う。


{2017/11/1-3読了、記入は11/11土}