読書録

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政権交代

政権交代 - 民主党政権とは何であったのか (中公新書)

政権交代 - 民主党政権とは何であったのか (中公新書)

本著の内容は、2009年の衆院選の結果による民主党への政権交代を様々な角度から分析し、民意が政治家に負託できず、公約通りの活動も行われておらず、事後評価機能も低い以上、日本では代議制民主主義が機能しているとは言えないとして、新たな政策を提言するという流れになっている。「政権交代するほど良い民主主義」は安易な発想だと批判する。


P170と171に、衆院選小選挙区の投票行動の決定要因が、共分散構造分析の結果の図として示されているほか、p160で、投票方向の軸を決定する要因は、政党支持や内閣支持、職業などであって、争点に対する意見はさほど大きな影響を持っていなかったという。


そこで著者は、p169で『日本では選挙を通じて有権者の民意が政治家に十分負託されているとは言えないことから、従来のウェストミンスター型デモクラシー(小選挙区制により選挙時に多数派の民意を議会に反映させる仕組み)には限界があり、コンセンサス型デモクラシー(比例代表制により民意をそのまま議会に反映させる仕組み)を基盤とした民主主義モデルの導入を検討する必要がある』と指摘し、コンセンサス型の方が、貧富の差が少ない国が多く、女性の社会進出や福祉国家環境保護などが論じられる割合が高いとされるとしている。


そしてより良い政治のためとして
□予算登録制度
□首相国民推薦制
□候補者公的助成
□予備選の実施  
□定数自動決定式選挙制度 

などを提唱している。


以前は良くテレビにも出演されていた著者は、この本では、コンセンサス型デモクラシーを推しているように読み取れる。今の政治の機能不全に対して改革を求めていこうという具体的内容がある点について、極めて興味深かった、何が実現していくのか、不明瞭な時代ではあるが、問題の所在と方向性を議論していくうえで、参考にはなると思った。


{2/23読了/記入は24}