読書録

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置かれた場所で咲きなさい

置かれた場所で咲きなさい

置かれた場所で咲きなさい

9歳で2.26事件に遭遇して父・渡辺錠太郎氏が殺害される現場にいて、36歳で岡山のノートルダム清心女子大学の学長に任命された著者。キリスト者として、悩み惑いながらも一つの境地に達していった生き方が、一つひとつの言葉に凝縮され、味わいがある。五十歳の時に2年間、うつになったという話も率直に書かれているが、こういう方でもそういう心の状態になるのかと、どことなくほっとした。また、私も救われた、ヴィクター・フランクルの言葉が引用され、生きるためには希望が何より必要なこと、つらいことがあっても朝は必ず来ると信じること、生きることには意味があること、の大切さも説かれている。極限の中にあって生還したフランクルの言葉、生き方が、苦しだ経験のある人にとっては、何より救いになるという思いを、さらに強くした。


紹介されているエピソードの中で、思わず涙がこぼれたのは、p73『順風満帆な人生などない→人生にポッカリ開いた穴からこれまで見えなかったものが見えてくる』という「人生の穴」についての話。四年生の女子学生が婦人科の手術を受け、子供が産めなくなったかもしれないと医者に言われた。彼女は、結婚を前提につきあっていた男性が無類の子ども好きだったので、隠しておこうかとも思ったが、いつかはわかると思って覚悟を決めて伝えた。するとその男性は、「心配しなくてもいい。僕は、赤ちゃんが産める君と結婚するんじゃなくて、“君”と結婚するんだから」と優しく言ったという。この穴のおかげで、女子学生は、相手の誠実さと愛の深さ=無条件の愛を知ったという。


他にも印象的なエピソードや言葉がいくつかあるが、以下、目次とともに引用。


(目次ー引用)
第1章 自分自身に語りかける;
・人はどんな場所でも幸せを見つけることができる;→どんなところに置かれても花を咲かせる心を持ち続けよう。
・一生懸命はよいことだが、休息も必要;→働くことは素晴らしい。しかし、仕事の奴隷になってはいけない。
・→結果が良かった時は、人の功績に。悪かった時は、自分が悪者となる。
・→苦しい峠でも、必ず下り坂になる。


第2章 明日に向かって生きる;
・人に恥じない生き方は心を輝かせる;
・親の価値観が子どもの価値観を作る;→価値観は言葉以上に、実行している人の姿によって伝えられる。
・ほほえみが相手の心を癒す→何もできなくてもいい。ただ笑顔でいよう。
・心に届く愛の言葉→“あなたが大切だ”と誰かに言ってもらえるだけで、生きていける。
★つらい夜でも朝は必ず来る→希望は叶わないものがあるが、大切なのは希望を持ち続けること。(扉)
・→自分のいのちに意味を与えることで、苦しい状況でも生きていくことができる。

第3章 美しく老いる;
・いぶし銀の輝きを得る;
・歳を重ねてこそ学べること;


第4章 愛するということ;
・あなたは大切な人;→あいさつは「あなたは大切な人」と伝える最良の手段。
・九年間に一生分の愛を注いでくれた父;(2.26事件で銃弾が飛び交う中、著者を座卓の陰に隠す)
・→信頼は98%。あとの2%は相手が間違った時の許しのために取っておく。(扉)
★→大切なのは「人のために進んで何かをする」こと。
★→相手を生かすぬくもりのある言葉を使える自分でありたい。


{4/30読了、記入も同日}