読書録

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日本型「無私」の経営力

日本型「無私」の経営力 震災復興に挑む七つの現場 (光文社新書)

日本型「無私」の経営力 震災復興に挑む七つの現場 (光文社新書)

震災復興にいち早く取り組んだ7つの現場が紹介されているが、いずれも普段から培われてきた企業理念とそこで働く人たちの思いが生きたのだと感じた。みな何かしたいという思いは共通している中で、どういう背景があってそれが実行できたのか、本著では、分析を加えている。いずれも素晴らしい人たちが動いているのだが、「素早く」対応するためには、トップのリーダーシップと実行するミドルマネージャーの存在が重要なのだということを考えさせられた。


(目次ー引用)
はじめに;
第1章 ヤマトホールディングス株式会社;
◇徹底した現場主義とトップの決断力:現地での物流支援活動や、荷物一個につき10円で合計140億円を超える寄付を実施。
⇒「ヤマトは我なり」=一人ひとりがヤマトの代表という意識+「社会から一番愛され信頼される会社」になること。p35
〇3つの特徴:本業を通じた支援、社会的使命からの活動、現場のへの権限委譲とそれを支えるトップのリーダーシップp37
←10円支援を決めた際に、スキー宅急便が豪雪で届かなかった際にも約款では責任ないが新品を提供した逸話ありp28


第2章 富士フイルム株式会社;
津波を被った写真を洗う ――「思い出」を救うプロジェクト:津波で海水を被った写真を洗浄する技術の開発と、大規模な洗浄ボランティア活動を実施。加えて関連会社が地域の除染作業に貢献。
〇二つの要因:「写真文化を守り育てていく」存在意義で一体感、ぶれないミドルマネージャーの存在p66


第3章 富士通株式会社;
NPOとの連携に見えた企業の可能性:被災地域へパソコンやクラウドシステムを提供し、NPOと連携したプロジェクトを展開。在宅医療システムを構築。
〇行動指針:三現主義(現場、現物、現実を直視して行動)、チャレンジ、スピードの行動指針p73
〇3つの理由:ミドルマネージャーの信念ある行動、現場に任せた経営層の判断力、新しい場の創出p93


第4章 株式会社東邦銀行
◇全ては地域、お客様のために ――地域経済を支える「信頼」:被災直後から迅速に払い戻しを行い、他の金融機関との協力関係をいち早く構築。
〇2つの理由:顧客との信頼関係の強さ、秀逸なリーダーシップと応えた行員のフォロワーシップp116


第5章 株式会社みちのりホールディングス
◇希望の灯となった地域の「足」と集いの「場」:原発周辺地域から住民を移送し、ホテルを避難所として開放。観光を通じた復興を目指し、ボランティアツアーを実施。
〇根底にある3つ:地域に対する強い愛着、自分たちの仕事の原点を再認識、普段からの経営理念の共有とコミュニケーションによる現場へのエンパワーメントp149


第6章 株式会社八木澤商店;
◇雇用を守り、地域を想う――若きリーダーの信念:会社員の雇用を維持するとともに、「地域全体経営」を構想。


第7章 一般財団法人KIBOW;
◇希望のかけ橋となる「場」を創る:産官学のリーダーが発足させた震災支援活動。被災地のトップや有志を集めたイベントを数多く開催。「夜明け市場」など、被災地での新たな取り組みの発足につなげる。


おわりに;「実際に素早く行動ができた組織の背景には何があったのか」p203


{4/15読了、記入は17}