読書録

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ビッグデータ・ビジネス

ビッグデータ・ビジネス (日経文庫)

ビッグデータ・ビジネス (日経文庫)

「情報・通信分野に関するコストの低減」(p4)によって、ビッグデータの活用がここまで進んでいるのか、という驚きがあるとともに、著者がいうように、厳しい競争の時代にいかに生かしていくのか、それこそ「革命」のような激変期にあるのかも知れない。いまや、一人ひとりの購買行動や趣味嗜好を踏まえた対応がリアルタイムで行われる一方、自らのプライバシーに留意しなければいけなくなっている実態が、よくわかった。


◇今の時代が、これまでと違う理由(p24〜)について、著者は、
1.電子化・自動化の進展でデータが取得しやすい環境が整った
2.事業者による情報・通信技術の活用が新しい段階に入る=知見の導出ができる
3.ビッグデータを取得生成、蓄積、処理分析するためのツールやサービスが成熟してきた の3つをあげている。


◇インターネット広告が進化してきた4つのステップとして(p57〜)
1.人が集まる一等地を探し求める段階:テレビや新聞と同じでポータルサイトなど
2.売り手買い手を一つのどんぶりに入れた段階:擬似的な大きなサイトを作る
3.アドネットワークの差異化が求められる段階:IPアドレスから居住地などを推察して広告
4.アドネットワークを含む大領の媒体を取引するための機能群の登場段階:SSPやDSPの進展
⇒ターゲッティング広告を、個人属性を踏まえて行うことが可能に
⇒個別・系全体×ストック・フローのマトリックス分析で、「よりリアルタイムでより個別に」が可能にby野村総合研究所


◇多様なデータの活用が消費者理解を高度化する(p72〜):3つの分類
1.ソーシャル:SNSの発信など⇒量的限界あり
2.センサ:機械的に収集されるデータ:拡大へ⇒脳波をチェックしてDJを交代させるディスコ、笑顔を測定して顧客満足度を高めるカジノなど。
3.業務付随:事業実施で得られたデータ:
(用語でGang of Four=アマゾン、グーグル、アップル、フェイスブック
(用語でHUMINT人的手段,OSINT公開情報,SIGINT技術的手段 各センサ)


◇データ活用で進化する製品・サービス開発(P107〜)
・2日間で作成された電子書籍トルーマンマッカーサーを解任)リアルタイム性
・データ駆動型アプローチ:個人のセンスより数千万人のデータでゲーム開発
・FITBIT ULTRA:万能万歩計の健康管理データを他社に開放
⇒データを取得しやすい事業者と活用しやすい立場の業者は必ずしも一致せずそこに商機につなげる可能性あり

◇高度な価格決定で需給を最適化(P139〜)=<適切な人に対して適切なタイミングで適切な価格を提示する>
・価格変動を予測し「買いどき」を示すサイト⇒decide.com
・危険な運転者の料率を上げる自動車保険や客室料金をリアルタイムで変更するホテル、好みを予測する回転すしなど
⇒これから生じることを予測しながら、需給調整や価格調整を行う施策すら実現しつつあるp166
⇒都合よくやり手痛い失敗(暑い日に飲料を上げる)もある
≪プライシングの5原則≫マルコ・ペルティー(ロンドンビジネススクール)教授
1.顧客との取引でなく関係に注目する
2.先を見越したプライシングをする
3.柔軟性を最優先する
4.透明性を高める
5.市場における「公正さ」の基準に留意する


◇社会課題の解決と「心地よさ、快適さ、気持ちよさ、愛着」といった「官能性」に関する分野でも期待(p174〜)
・走行データを使って交通事故を減らす、犯罪を減らす予測警備、万引きや自殺を減らす、など。


ビッグデータ効用を得ていかないと、競合他社と比較して著しく不利になるp198


改めて便利な時代になったものだが、最後に著者が書いているように、使えるか使えないか、によって差が出てくるのだろう。ただ、社会には、大規模店もあれば個人商店もあり、この便利さの行きつく先は、いったいどこなのだろう、とも考えてしまう。

{3/29-4/3読了、記入は4/6}