読書録

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この世で大切なものって何ですか

この世で大切なものってなんですか (朝日新書)

この世で大切なものってなんですか (朝日新書)

「やっぱり、生きることでしょう。いかにして生きるかということでしょうな。生きることを放棄することなく、どんな苦難があっても切り抜けていかなくちゃならない」p179

ネタバレになるかも知れないけど、これがタイトルの問に対する、千日回峰行を二度満行した比叡山酒井雄哉大阿闍梨の言葉。聞き手の池上彰氏があとがきで記しているように、読む人のレベルに応じて感じ方が違うのかもしれないが、自分にはジーンと心に響くことばが随所にちりばめられていた。生きにくい時代だけに、どうすれば良いのか?様々な本に接してきたけど、大阿闍梨の言葉には、重みがある。きのう最後の特別手配者が逮捕されたオウム真理教など、宗教というとあまり近づきたくないという思いがあるが、この本を読んで、葬祭でしか接することが少なくなった仏教について、もっと知りたいとも感じた。大阿闍梨は、難しい言葉でなく、それこそわかりやすく語ってくれるところが素晴らしい。今やベストセラーを出し続ける池上さんと、それこそ「優しい言葉」での対談は、手元に残したい一冊だと思う。

印象に残った言葉を引用(注釈なければ酒井雄哉大阿闍梨
p185:(池上)世の中まわっているのだから、ありのままの自分でいいのだから、まずは欲を捨てることから始めることだ…。きっと、これが悟りというものだろうと思えるような口調で、淡々と答えて下さいました。

p15:苦しみっていうのは、大きくいったら、みろんな事柄にぶつかって、悩むことが苦しみになっていくのだと思うけど、世の中っていうのは、よいことも、悪いこともくるくるとまわっているからね。

p38:今日失敗して、明日もまた失敗しても、いまやっていることが必ず何かをつかめるところにくるかもしれない。どこかでお役に立つことがあるって。ぼくはよく「一日が一生」と言っているんですが、今日の自分はもう今日でおしまい、明日はまた新しく生まれ変わって前に進んでいけると。

p67:お天気だって、晴れもあれば、雨の日もある。春が来たり、夏が来たり、季節もめぐる。その自然の摂理の中で、人間は生かされているんだから、本当は生かされている以上の幸せなんてありえないんですよ。不幸とか幸せとかいう計算はなくて、この世に生まれ落ちたこと自体に感謝すればいいんですよ。

p110:(人を育てる?)人間生きていると、三つの要素があります。呼吸することと、身体を動かすこと、そして心に思うこと。この三つがちょうどそれぞれの柱で支え合っていると、いいんだよ。

p150:すべてが常に移り変わっている、無常なんです。…ですから人生の道を歩む上で、
油断をせずに、しっかりと地に足をつけて歩いていきましょうと、話をさせてもらったんですよ。

p154:一生懸命やっていれば、仏様はどこかで見てくれていると、今を大切にしなかったらだめですよ、ということです。むりせず、急がず、はみださず、りきまず、ひがまず、いばらない。ですな。

p161:一日を一生と思って生きていれば、どこへ行って、いつ死んでも、後悔はしないという考えですよ。今のこの現実しか信用できないということですね。

p173:「あんたは何しにここ(この世)に来たの?」って常に自分の心に問い続けることですな。世の中にはきっと、一人ひとりがしなければならない持ち場がある。「一隅を照らす」とはそのことです。

p177:(池上)生きているって、何らかの形で自分が世の中のためになっていると信じることが幸せであって、突然なんらかのことで自信が持てなくなると不幸せになってしまう。…なんらかの形で役に立つことがあれば、また幸せになれるということですよね。

{6/11-15読了、記入は16土曜}