読書録

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メディアの仕組み

メディアの仕組み

メディアの仕組み

オールドメディアとニューメディアの旗手ともいえる二人の対談は、現状と今後を考えるうえで極めて示唆に富む内容だ。ラストに池上氏が書いている「メディアの人間であれば、あらゆる媒体を使って人々に情報を届けようと考えるのは当たり前のことです。そのために何ができるのか。ささやかな対談から、少しでも汲み取っていただければ幸いですp219-220」ということ。

目次や概要については、出版した夜間飛行のサイトにあり⇒ https://yakan-hiko.com/shop/pc1


本著の中で、池上氏が初めて気づいたと、津田氏が紹介しているポイントの一つ(p90〜)に、グーグルの検索アルゴリズムが、昔の良い情報から新しい情報に変化したことや、過去の記事情報が消えることなどで、10年ぐらい前の情報を検索で見つけることがかなり難しくなっているという点。簡単に消えてしまい、検索も難しくなるなか、新聞は徹底的にデータベースとして売ること=「過去記事のデータベース化」が生き残るための鍵というのは、そうかもしれない。読売新聞の『ヨミダス文書館』が1986〜の全文検索で月額1575円というのは、使ったことがなく知らなかった。忙しい時代に、ゲームで金を払えば楽に遊べるというモデルで売り上げがあるように、情報収集をしたい人に時間を節約させるビジネスに代えられる可能性があるということも、興味深い。


このほか、印象に残ったポイントは以下。
リーマンショックで2008年以降、民放の製作費がカットされ、優秀なスタッフを抱えた制作会社がNHKに流れてきたp17
◇p28津田「コンテンツの拡散が最も効率の良い形で行われることこそ、ネットとテレビの融合の本質」
◇p44津田(専門家がネットを通して自由に発言できる時代に)「マスメディアもいち早く情報を取り込んでキャッチアップしていかないと、報道機関として未来はない」
◇新しいジャーナリズムの一つのモデル・メルマガでそこそこの成功ができたのは、これまでの新聞の「定期購読」の仕組みに負うところが大きく、ある新聞の公表されなかった調査で、「特に解約する理由がないから」が最も多かったというp86
◇p142池上「「正しい情報」と「間違った情報」を瞬時に切り分ける能力ではなくて、「実はわかっていないんじゃないか」という恐れを持つこと。それがメディア・リテラシーなんだと思います」+p153「「真実」は分からない。でも、世の中にはさまざまな「事実」がある」


二人が読むことを推薦している図書が5冊づつ掲載されていて、順次、読んでいければいいと思う。池上氏は、2時間も拘束されるテレビは見ないとも本著で語っていたが、確かに時間がない時代、良質な情報をいかに効率的に入手していくことができるのか、ということも求めらているのかもしれない。


{1/25-2/6読了、記入は7}