読書録

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情報行動

情報行動 システム志向から利用者志向へ (ネットワーク時代の図書館情報学)

情報行動 システム志向から利用者志向へ (ネットワーク時代の図書館情報学)

こんな学問分野があるとは知らなかっただけに、新鮮な刺激を受けました。
以下に図書館を、システム構築から、利用者志向にかえ、情報をとりやすくするか、そのために、いったいどういう形で利用者は情報に接しようとしているのか、それこそ数学の方程式まで出てきて、海外の研究成果がコンパクトに紹介され、結構面白かったです。キーワードは、副題にある通り、「利用者志向アプローチ」で、「利用者にとって使いやすく親切ば情報環境をつくり出すことに貢献する」(p18)ということ、各図書館が試行している「レファレンスサービス」も、この本を読むと、その意義や方向性が、そこはかとなく理解できる。

一部引用させていただくと、
p10:ダーウィンのシステム志向アプローチへの疑問⇒客観な情報にのみ価値がある、より多くの情報は常により優れている、…情報を提供しアクセスできるようにすることは常に可能である
p36:研究者の情報検索における8つのパターン;¥:開始⇒連鎖⇒ブラウジング、差異化、監視、抽出、
p86:弱い紐帯の強み理論⇒新たな情報を獲得するには疎な人間関係の方が優れていること グラノヴェッターが提示
p87:イノベーションの普及理論⇒相対的な利点、両立の可能性、複雑性でない、試行可能性、観察可能性、と早く採用される

p101:マスコミュニケーション領域における理論の変遷
19世紀〜  大衆社会論   メディアには大きな影響力と否定的な役割があるとみなし批判 理論家は支配的エリート
1930-50年代  プロパガンダ論 政治的プロパガンダの持つ強力な影響を具体的証拠により証明 行政管理理論や投票行動研究
1960年代   限定効果論   脅威を与えるのではなく現存する社会的風潮を強化する見解  多元主義エリート論、共産主義者追放
1970年代   批判・文化理論 ネオマルクス主義(エリートと大衆の文化的闘争の場)、社会理論学派(会集団に支配的文化を広める)、決定論的仮説(メディアの力は強大で、その影響力は直接的であるという仮説)
1980年代   中庸効果論   重要なメディア効果が長期にわたって生じる可能性があるという考え方で、社会記号論(視聴者がどう意味づけるか)、メディア・リテラシー運動(アクセスして分析、評価する能力)、能動的聴衆(メディアを利用して意味ある経験を創造する人々)

p127〜情報行動の負の側面
1.情報過多と情報拒否⇒認知的不協和(調和する情報を求め、矛盾する情報を回避する傾向)、選択的情報受容(信頼を得ている人の方が説得の効果が大きい)

p172:電子メールによるバーチャル・レファレンスサービスでは、(主題や目的も質問者に記載させ)ゴールの達成を支援するという、情報行動研究の成果を踏まえた実践の一例である。

p199:情報通信技術の急激な発展により、世の中は情報社会から知識社会へと大きく変貌している。知識社会とは、持てる知識を価値に転換できる人々や組織が経済を支配する社会で、そこでは必要に応じて知識を獲得し活用する能力が求められる。(…仕事や暮らしに必要な知識は時代とともに変化するので、知識社会に暮らす人々は生涯にわたって新たな知識を習得し続けることが必要…)図書館サービスやインターネット上の情報源は、知識社会における人々にとってアクセスしやすく使いやすいものであることが期待されている。

{6/4-5読了、記入は9…一部睡魔で変換乱れあり朝に追記}