ネット帝国主義と日本の敗北―搾取されるカネと文化 (幻冬舎新書)
- 作者: 岸博幸
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2010/01/01
- メディア: 新書
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著者が主張しようとすることは繰り返しまとめがでてくるのでわかりやすい。
p132:これまでの説明をまとめますと、ネット上では、コンテンツ・レイヤーに位置するマスメディアやコンテンツ企業がプラットフォーム・レイヤーのネット企業に搾取され、同時にプラットフォーム・レイヤー上は米国ネット企業の帝国主義的な世界展開による一人勝ちという状態になっています。今起きているのは、米国ネット企業による世界のマスメディアやコンテンツ企業の搾取と、その結果としてのジャーナリズムや文化の衰退なのです。悪く言えば、米国ネット企業による世界のネットのコンテンツ.レイヤーとプラットフォーム・レイヤーの植民地化です。
この現象が生じた背景は、「縦割りの時代に参入障壁で守られていた流通独占が崩れ、かつネット上に無料という観念が蔓延した」(p52)とし、プラットフォームが米国支配になることで、米国の情報支配、米国のソフトパワー強化、そして米国による世界のネット広告市場の制覇の3つが問題だと指摘する(p109)
マスメディアやコンテンツ産業がこうした状況でとりうる対策として、新たな龍頭独占を作り出す、もしくはこれを諦めてネット企業との間での適正な収益の配分を追求する、この二つしか基本的にはないとする。(p190)
そして、ジャーナリズムや文化を維持するためのコストは負担しなければいけないと政府の政策対応を促す訳で、いわゆるネット擁護の人たちを無策だと批判している。
このわかりやすさの原点には、”国益”という概念が貫かれているからで、ただこれが強調されすぎると、議論としてはちょっと違うような違和感も覚えるのは何故だろうか。
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