読書録

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空飛ぶタイヤ

空飛ぶタイヤ 新版

空飛ぶタイヤ 新版

 

 下町ロケット直木賞を受賞した著者だが、2006年に本作でが候補作に、2009年にWOWOWで連続ドラマとして放送され、実はオンデマンドで先に映像から入った。微妙な設定の違いもあるが、背景となっている大企業の論理vs真実を求める人たちの構図がわかりやすく、再び物語に引き込まれた。
 

発刊した実業之日本社のサイト→ http://www.j-n.co.jp/books/?goods_code=978-4-408-55272-9
WOWOWドラマのサイト→ https://www.wowow.co.jp/dramaw/taiya/index2.html
映画のサイト→ http://soratobu-movie.jp/


 関係ないとはいいつつ、三菱自動車工業製大型トラックの脱輪による死傷事故と、三菱自動車によるリコール隠しなどが物語の下敷きになっているのは明かで、実際がどうなったのかが気になった。

 ドラマを見たのはオンデマンドで今年1月から2月にかけてで、平成21年日本民間放送連盟賞 番組部門 テレビドラマ番組最優秀 東京ドラマアウォード優秀賞(連続ドラマ部門) :第26回ATP賞テレビグランプリ2009最優秀賞(ドラマ部門) 第26回ATP賞テレビグランプリ2009グランプ リ などメモあり。
 実話との比較WEB記事 http://wakatake-topics.com/?p=3899 も検索でいくつかヒットし、本作では最終的に責任をかぶされた赤松運送の容疑が晴れ、倒産を回避。ホープ自動車は他社(セントレア自動車)に吸収されたが、現実では責任をかぶされた運送会社は廃業。三菱自動車はグループの支援を受けて存続し続けたとの記載があったが、なかなか悲しいことではある。


 本を読んでいても、ドラマの登場人物が頭の中に浮かぶのはなんとも言えない感覚で以下の人物が特に印象にのこる。
 赤松運送社長の仲村トオル、 宮代専務の故・大杉漣、門田整備士の柄本佑ホープ自動車・沢田カスタマー戦略課長の田辺誠一ホープ銀行・井崎調査役の萩原聖人、新港北警察署・高幡刑事の遠藤憲一の方々は、とても誠実という印象が残る。悪役ともいえるのは、自動車・狩野常務の國村隼と、銀行・巻田専務の西岡徳馬で、こちらは味と深みがある。
 原作とは違い男性ではなく女性を起用したという点では、杉本品質保証部の杉本を尾野真千子、週刊潮流記者の榎本を水野真紀が、それぞれ好演していた。


 会社論として以下の3つを備忘録としてメモ
p93:ホープ自動車という、時として官僚的といわれる社風の中では、社員の関心事はひたすら、外にではなく、内へと向く。
p134:企業の存在意義が世の中に対する価値の創造だとすれば、ホープ自動車の提供する価値は果たして存続に値するのであろうか。
p224:自社に都合の悪いことは、隠蔽するのではなく、むしろ明らかにしていくことでしか
顧客の信頼をつなぎとめることはできないのだ。


 印象に残った言葉を3つだけ引用
p234:沢田の妻「一番大切な人に嘘をついちゃだめよ。会社の場合、それは、お客さんでしょう」
p587:高幡刑事「プライドは捨てた」・・「忘れちゃなんねいのは、被害者の悔しさだろうよ」
p628:社長「俺は、お前らと一緒に仕事ができて心から誇りに思う。ありがとうよ!」


 素敵な物語に感謝。書店では、下町ロケットの最新刊が並んでいて、次の楽しみだ。公開中の映画も観てみたい。

{2018/9/5-9読了、記入は9/15}