読書録

読書整理用のダイヤリーから移行しました19/1/26土~

コーヒーが冷めないうちに

コーヒーが冷めないうちに

コーヒーが冷めないうちに

 久しぶりに泣くことができる小説をじっくり味わうことができた。


 タイムスリップもののルールとしては限定が厳しくて広がりを持つ話にはならないだろうと、正直、高を括っていた。各章ごとに徐々に深みが出てきて、重層的に人物が重なりあい、生きること、思いやること、深く胸に刻まれた。まだ読んでいない方も多いと思うので、ここはネタバレをさけて、出版社のサイトにも表示されている章立てに、少しだけ印象に残った言葉と感想を加える形で以下に記したい。


第1話「恋人」結婚を考えていた彼氏と別れた女の話:p83「それを言ったら負けだと思った」
第2話「夫婦」記憶が消えていく男と看護師の話:p171「・・と面と向かって言えないから手紙に書いた」
第3話「姉妹」家出した姉とよく食べる妹の話:p252「説得をあきらめなかったのは夢だったからだ」
第4話「親子」この喫茶店で働く妊婦の話:p343「私は生まれてきて、本当によかったと思ってる」



発刊したサンマーク出版のサイト→ https://www.sunmark.co.jp/detail.php?csid=3507-0



 ラストの1ページにある心の中の言葉がいいp348ので、これも最後に引用させていただく。
(心ひとつで、人間はどんなにつらい現実も乗り越えていけるのだから、現実は変わらなくとも、人の心が変わるのなら、この椅子にもきっと大事な意味がある・・・)


 この読書録を書いている週末には、孫が祖母や父親含め5人を殺害した疑いがある鹿児島県日置市の事件が大きく報じられている。どうして優しくなれないのだろう・・・本書に登場する人物たちとあまりに異なる現実の世界・・心のもちようなのだろうとも思う。

 
{2018/4/6-8読了、記入は4/9}