読書録

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さよなら!僕らのソニー

さよなら!僕らのソニー (文春新書)

さよなら!僕らのソニー (文春新書)

ソニー神話の時代にAV機器になじんでいただけに寂しく、昨今の家電業界の不振ぶりに何か対応策はないのかという問題意識を持ちつつ、この本も手にとる。
著者の本は、『パナソニック・ショック http://d.hatena.ne.jp/MrBooPapa/20131012 』以来2冊目だが、テレビ事業(高画質と大画面化)を王道と捉えているところは本著でも同様。ソニーに関しては、辻野晃一郎氏の『グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた http://d.hatena.ne.jp/MrBooPapa/20110606 』で、自分の思いも書いたが、自由で新しいことに取り組む社風が損なわれたという点については共通しているところもある。


出版した文藝春秋社のサイト→ http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166608324


目次などは、グーグル検索で上位にくるはてなブログの記事に要旨も含めてあり→ http://d.hatena.ne.jp/allenda48/20120205/1328444054 (トラックバックのやり方など、最近ほとんど使っていないので忘れてしまい、ここにリンク先を書くことでお許し下さい)


過去のメモと重複を避けながら、印象に残ったポイントなどを以下引用。
◇p81:のちに井深氏が唱える「人真似はするな。他人のやらないことをやれ」というソニーのエンジニアに対する指針は、ソニー・モルモット論を呑み込んで、「日本一」「世界一」を目指すパイオニア精神、ソニースピリットと呼ばれるようになるのである。(p20に同様の趣旨内容あり)

◇★ウォークマンに役員会が猛反対p44〜46、アイデアはもともと井深氏が海外出張の際、飛行機の中でステレオ音楽を聴きたいと技術陣に求めたのが始まりで、試作品を渡された盛田氏も気に入り商品化に乗り出すが、販売部門が消極的で広告宣伝も予算が当初ついていなかった→マーケット・クリエーション(市場を作る)というのは、マーケット・エデュケーション(市場を教育する)と盛田氏は言っていたという。←この話は、さまざまなイノベーションというのは、大勢には理解されなくても、自分が欲しい、楽しい、と思った商品が、実はヒットする可能性を秘めているということかとも思う。アップルもトップがこれが欲しいと引っ張ったから今の形になったのではないだろうか。

◇クォリティとメッセージを担保する商品がなければ、ブランド力が低下するのは当然p66+(上位のクオリアで失敗、カテゴリーブランドも控える)+いま見ているのは、「自壊するソニー神話」の姿p67

◇コンピュータ(技術)は、IT(情報通信技術)の核となるもので、それとAVの融合は来るネットワーク時代でソニーが生き残る必須条件という出井氏の考えp89+著者は、結局実現しているのは銀行や保険などp172で、ネット化には成功しなかった(平面テレビベガとPCバイオは成功して貢献p174)ということを指摘している。←「コンテンツとネットワーク路線」というのは、現状や将来のことを考えれば、目標としてはそうだったのではないかと思う。いまのアップルの優勢をみると、なぜソニーにできなかったのかをもう少し掘り下げて欲しい気がする。著者は、ソフトとハードの融合は夢で醒めた方がいいp246というが、その点はまだわからないと思う。

◇画質でなく価格で勝負、DRC(デジタル高画質技術)をハイエンド機にも搭載せず、人員削減とコスト削減を、ストリンガー氏らは進めるp113-118+人員削減は製造現場だから本社には動揺はないという本社広報のことばp125←本著が出てから4年、今でもそうなのか、売り場などで確認しないとわからない面あり。

◇凄まじい業績評価基準「EVA経済的付加価値」の導入で、売上至上主義で目先のことに追われ、先行投資にはなじまない形に+商品企画・開発力の強さを見失い、本社は急速に官僚化p188-189


{2/8-11読了、記入は14}