読書録

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仕事に役立つ経営学


経営学について、11人の専門家・研究者が、それぞれの分野について解説し、章ごとにブックガイドがついていて、今の状況を俯瞰するには良い一冊。技術関係の本で引用されていたマイケル・ポーターの5つの力や競争戦略論など登場し、企業の具体例がふんだんに紹介されている。


日経ブック&ビデオクラブのサイトに目次あり→ http://www.nikkeibookvideo.com/item-detail/11314/


日経文庫の装丁・デザイン、構成が新しくなり、読みやすくなったような気がする。

印象に残った分野など以下に引用。
◇東出浩教早稲田大学教授が「起業 ベンチャー精神を育む「場」をつくる」で紹介している幸福感の好影響→
・楽しく人と接する、・他人のために何かする気持ち、・高い創造性、・「異なる意見」を尊重、・効率的、生産的に、・健康・長寿にp143
+従業員の幸福と企業の好業績につながる要素→・良心に反しない、・違う仕事に挑戦、・考えや能力を試す機会、・自分で判断できる自由、・高い達成感、・よい仕事への賞賛、・人々の助けになる、・昇進の機会p151


◇梅津光弘慶応義塾大学准教授の「企業倫理 コンプライアンスを超えて」で、倫理を浸透させる方法として、コンプライアンス型より、シンプルな価値共有型が優れているというリン・シャープ・ペインハーバード大教授の論点を紹介→コンプライアンス過剰の「べからず集」による弊害が生まれているp165→exジョンソン・エンド・ジョンソンの我が信条(クレド)「わたしたちは個k顧客、全社員、地域社会、株主にそれぞれ責任を持つ」など、シンプルな社是や社訓を持つ企業が長寿166、
(制度化手法の違い)
目的 非合法行為の防止→責任ある行動
方法 個人裁量縮小、監査と統制→明確な責任、組織システム
人間像 物質的利益に導かれる自律的存在→価値観、理想などにも導かれる社会的存在
ビジネススクールのイメージが「いかに大きな収益をあげるか」というプログラムからCSRやソーシャルビジネス(貧困など社会的課題の解決を目指す)の講座が人気を集める→社会貢献活動やCRM(売り上げの一部で社会に貢献)などもp175


◇空間距離が心理にも影響すると、米ヤフーが2013年6月から、育児中など除き在宅勤務を禁止p121、無断の兼業などで業績向上に役立たないため


一連の経済・組織論関連の本を読んでいると、単に競争に勝ち稼ぐことではなく、いかに社会に役立つか、やりがいを感じられるか、という論点が増えてきているように思う。高度成長期を経て、ある程度物質的な満足がある中で、生きがいや幸福感といった課題が、個人だけでなく企業・組織にも影響してきたということなのだろうか。

{10/24-26読了、記入は11/4}