読書録

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『思考停止社会』 郷原信郎 著

思考停止社会~「遵守」に蝕まれる日本 (講談社現代新書)

思考停止社会~「遵守」に蝕まれる日本 (講談社現代新書)

不二家伊藤ハムなど食品をめぐる身近な事案などを具体的に紹介し、コンプライアンスの在り方について考えさせてくれる。
裁判員制度についても、いよいよスタートしたが、重大犯罪だけでは意味がないと激しく糾弾している。
引用された水戸黄門の印籠のように、思考停止にならないようにしたい。


(目次-引用)
はじめに
p10:(前著「『法令遵守』が日本を滅ぼす」について)「形式的な法令遵守を上から下に命令していくだけの誤ったコンプライアンスばかりを続けていると、本当にこの日本の社会は壊れてしまいかねない。しかし、『法令遵守』ではなく、『社会的要請に応えること』をめざす真のコンプライアンスは、決して日本を滅ぼしたりはしない。むしろ、それこそが、混迷した日本の社会を救うかぎになるのだ」ということが言いたかったのです。


第1章 食の「偽装」「隠蔽」に見る思考停止;
p41:「何でも情報開示」というコンプライアンスによる思考停止の連鎖が、食に対する消費者に不安をいたずらに煽る結果になっています。

第2章 「強度偽装」「データ捏造」をめぐる思考停止;


第3章 市場経済の混乱を招く経済司法の思考停止;
p68:(ブルドックソース事件判決と村上ファンド事件判決)本来、公正な市場を支えるために重要な役割を果たすべき経済司法が、それを果たしていない日本の現状を内外に宣言してしまったのが、この二つの判決。


第4章 司法への市民参加をめぐる思考停止;
→重罪事件の裁判に参加させるのではなく、市民生活や経済活動に密接に関連する民事・刑事の事件の裁判に参加させるべき


第5章 厚生年金記録の「 改ざん」問題をめぐる思考停止;


第6章 思考停止するマスメディア;
p160:マスメディア報道で「法令違反」「偽装」「隠蔽」「改ざん」などの事実が指摘されると、当事者は一切の反論ができず、まさにその場にひれ伏すような状態になってしまいます。
p162:2007年1月の関西テレビ(フジ系)の「発掘!あるある大辞典?」(納豆)とTBS系の「みのもんたの朝ズバッ!」(不二家チョコ再利用疑惑)
p181:間違いが指摘された際、積極的に調査を行い、真実を明らかにした者が重いペナルティをを受けて、「事実不明」で曖昧に対応した者は不問に付されているという実態では、放送事業者が事実を明らかにするころに消極的になるのは当然です。・・(NHKも含め)「真実性に関する問題を自主的に明らかにするインセンティブが働かない仕組み」というという面では共通性があります。

第7章 「遵守」はなぜ思考停止につながるのか;


終章 思考停止から脱却して真の法治社会を
p199:社会的要請に対する鋭敏さ(センシティビティ)と、人や組織がお互いに力を合わせること(コラボレーション)の二つの組み合わせによって、より良い社会を実現するためのパワーを高めていくことができるのです。


{図書館で借り8/21読了、記入は26作業}