- 作者: 仙波敏郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/03/31
- メディア: 単行本
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すざましい生き方だ。心から感服するとともに、読後、胸が熱くなった。
若き頃、成績優秀ですぐに巡査部長に昇進しながら、裏金作りのニセ領収書を書くことを拒否したばかりに、
異常な配置転換、いやがらせにあう。
息子は消防署長を殺害した罪で服役し、周囲からは冷たい目で見られる。
そして、ガンで善き理解者だった妻を失う。
よく耐え、現職でありながらある機会をえて告発し、その後、500日も閑職に配置転換されながら、
これも裁判闘争で撤回させ、今年3月に定年退職を迎えたという。
著者を支えたのは、正義感だろうけど、周りが全員やっていて、それをしなければ苛められるという状況のもと、
自分だったらこういう生き方ができるだろうか、と自問する。
こういう著者のような方がいるから、まだ、人間を信じられるのだろうとも思う。
お疲れ様でした
(目次-引用)
プロローグ 三六年間の孤独な闘い;
第1章 たった一人の拒絶;
p48:(「地獄に仏です」)こういう言葉をもらうために、自分は警察官になったのだ。そう思えるだけで幸せだった。これが警察官の本当のやりがいだ、と私は思う。たしかに重大犯罪を検挙するのも大事かもしれないが、日々、困っている人たちのために全力を尽くすことこそ、警察官の原点なのだと、私は思う。
第2章 誰も知らなかった「裏金」の実態;
第3章 日本最大の犯罪組織;
p134:私の好きな言葉に、「源清ければ、流れ清し」がある。トップが清廉潔白なら、下もきれいになる。
第4章 父として、夫として;
p157:それで私たち夫婦は、息子が犯した罪の重さを二人で受け止め、悲しさ、つらさ、憤り、やるせなさを分かち合い、なんとかいっしょに乗り越えようとしていた。
p163:「いままで本当にありがとう。今度生まれてきても、またあなたと結婚したい」「今度生まれてきても、またあなたと結婚したい。してくれる?」
第5章 警察を売った男;
第6章 人はどこまで正義を貫けるか;
p226:服務宣言「・・なにものにもとらわれず、なにものをも恐れず、なにものをも憎まず、良心のみに従って不偏不党かつ公平中立に職務を遂行することを厳粛に誓います」この原点さえ見失わなければいいのだ。
p229:励まし、賛同、支援、理解。「自分はけっして悪に手を染めない」という決意。そして悪を憎む気持ちを忘れないこと。一人ひとりができる範囲のことをしていけば、社会は少しずつ、しかし確実によい方向へ変わっていくはずである。私はそう信じている。
エピローグ 友への誓い
{図書館から借り8/25読了、記入は28}