読書録

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『人が壊れてゆく職場』 笹山尚人 著

人が壊れてゆく職場 (光文社新書)

人が壊れてゆく職場 (光文社新書)

「法の定める権利が無視されている職場であると同時に、労働者の生活ばかりか人格までも大切にせず、これらを蹂躙する職場をイメージして使っている(p3)」というのが、著者の説明する本書のタイトルの意味で、内容を読み進めると、おととし施行された労働契約法によって、これまで判例などで認められてきた労働者の権利が明文化されたにも関わらず、これを無視した職場がかなりあり、これらの課題は、法律を順守することである程度は改善されるということだろう。
著者は法制度をより強化することを訴えているが、反面、国際的な経済競争の中で企業が人件費を削りながら生き残りを図ろうとしていることも明らかであり、この折り合いをどうつけていくのか、「正解」は試行錯誤の中からしか生まれないように思う。ただ、非人間的な扱いだけは許されるものではなく、なんとかしていかないといけない。


(目次ー引用)
第1章 管理職と残業代―マクドナルド判決に続け;
p34:法令を順守するだけで、現在の「格差社会」は相当程度改善できる。

第2章 給与の一方的減額は可能か?―契約法の大原則;

第3章 いじめとパワハラ現代日本社会の病巣;
p80:(2008年3月1日に施行された労働契約法で、安全配慮義務が明文化、解雇には合理的理由が必要なことも)

第4章 解雇とは?―実は難しい判断;
p99:(労働審判制度で、3回までと迅速化)

第5章 日本版「依頼人」―ワーキング・プアの「雇い止め」;

第6章 女性一人の訴え―増える企業の「ユーザー感覚」;

第7章 労働組合って何?―団結の力を知る;

第8章 アルバイトでも、パートでも―一人一人の働く権利;

終章 貧困から抜け出すために―法の定める権利の実現
p225:(3つの違法=残業代の未払い、社会保険の未加入、年次有給休暇を取得させない)