読書録

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それでも、生きる

それでも、生きる。 NHK取材班が聴いた被災地3000人の声

それでも、生きる。 NHK取材班が聴いた被災地3000人の声

『(母は)娘が助かったのを見届け「生きろよ!こっちを見るな!後ろを振り向くなよ、がんばって生きろよ!バンザイバンザイ!!」と流れていきました』(p55)と、届いたアンケートの中にあったという一節。一緒にいた父親や娘に対する複雑な思いも経て1年後、「だからいま私は、生きるっていうのは、過去の自分を一生懸命探して、そして震災後の、それぞれの、みんなの言葉を思い出して、みんなからもらったものを毎日どうやって返していこうっていうことを考えながら、生活していくことが、いま私の『生きる』なんです」(p98)と語る女性の姿に、どうやって応えていけるのか。懸命に生きようとしながらも状況が改善しない姿に、著者は「取材をしていて、無力感に苛まれることも多々あった…多くの人たちが復興を成し遂げようと懸命に生きている。それを忘れないこと、そして見守り、寄り添い、何が出来るか自問し続けること、それは私たち一人ひとりにも出来るのではないか」と記しているが、重松清さんが書いた「希望の地図」に通じるところがあった。それにしても、この母親の言葉を噛み締めると、いま、生きていられることの大切さを、もっともっと感じて、考えていかないと…。


(目次ー引用)
はじめに;(吉田好克)
p4「私たちは統計のために多くの回答を得ることが目的ではない。被災した人が抱える心情を伝えるために行う」


第一部 被災者の一年
◇すれ違う家族の“幸福”像、それでも養殖にかける想いの中に;宮城・女川町・高泉元幸さん・26歳(志賀淳二)
◇母の最期の言葉をかみしめ、もがき、苦しみ続けた一年;岩手・大船渡市・志田由紀さん・48歳(松井裕子)
原発事故の“がけっぷち”故郷、一人草刈り続け、見る夢は;福嶋・広野町・鈴木正範さん・65歳(中村淳)


第二部 1年アンケート記録
p162:「決して、この悲しみは時が解決してくれないと想います」


おわりに;(神田真介)
p190:被災者の心の奥にあって決して消えることのない悲しみや苦しみ。それを「他人事」ではなく、被災地以外の人も、少しでも自分の心の痛みとして感じられるよう、これからも深い取材をしていかなければいけない。そうみんなで話している。


{2/9読了、記入は11}