読書録

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日本の地方財閥30家

日本の地方財閥30家 知られざる経済名門 (平凡社新書)

日本の地方財閥30家 知られざる経済名門 (平凡社新書)

知っているようで知らないことって、まだまだ沢山あるんだと、改めて認識した。著者の本は、『日本の15大財閥』を20100114に読んで、この読書録でも簡単に記したところだが、この地方版では、日本経営史研究者の森川英正氏の「富豪の家族・同族の封鎖的な所有・支配下に成り立つ多角的事業体」という定義から、『地方財閥の展開と銀行』(1989年)による「地方の大資産家が封鎖的な家族を中心に持株会社あるいはこれに類する組織をつくり、これを頂点として土地所有を含む多角的な営利事業を営む集団」という概念規定を紹介しする。ただ、地方財閥の場合は、地域におけるインパクトが大きくあてはまらないものもあり、結局、資産額を参考に、独断と偏見で30家を選んだという。自分がかつて住んだことがある地域や、今も続く人脈関係など、とても興味深い内容。


(目次-引用)
第1部 地域編
1.甲州財閥(若尾家、根津家);→財閥が初めて使われたのが甲州財閥で出身が同じ人物が集まる勢力。根津家は東武鉄道のオーナー。今も続くのは富国生命

2.江州財閥(伊藤忠兵衛家、飯田家);→伊藤忠商事と丸紅の祖は同じ。

3.中京財閥(岡谷家、瀧家、神野家、森村家);→ノリタケからTOTOまで森村家。

4.九州財閥(貝島家、麻生家、安川家);

5.阪神財閥(岩井家、嘉納家、辰馬家、岡崎家、川西家);


第2部 事業編
6.醤油(茂木家、浜口家、正田家)・酢の部(中埜家);→醤油の1位キッコーマン/野田市、2位ヤマサ醤油/銚子市、3位ヒゲタ/発祥は銚子が、千葉県を本拠。茂木本家と有力な分家6家、高梨本家が共同出資して野田醤油をつくり、ブランド名としていたが、これを1964年に会社名にした。労働争議の解決と、1907年から海外進出も。/ヤマサ醤油の浜口家の本拠は元は和歌山県広川町(旧・有田郡広村)で、津波の際に山に火を放って避難させた「稲むらの火」(小泉八雲)として、七代目が知られている。4位に正田醤油だが、分家の日清製粉創業一族が美智子妃の実家として有名。

7.農林水産の部(田部家、諸戸家、本間家、中部家);

8.紡績・製糸の部(大原家、片倉家、坂口家);

9.機械工業の部(島津家、中島家、服部家);
p233:「日本のエジソン」といわれた創業者・島津源蔵の思想は今も島津製作所に息づいている。ノーベル賞を受賞した田中耕一は、「入社したとき、すぐに製品に結びつかなくてもいい。3年、5年先を考えながら画期的なものを、自由にやっていいと言われました。とても恵まれていました」と述懐している。

{9/21-22読了、記入は23}