- 作者: 鎌田東二,玄侑宗久
- 出版社/メーカー: 角川学芸出版
- 発売日: 2012/03/10
- メディア: 新書
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この暑さのせいか、電車よりバイクで移動することが多くなったせいか、読書が進まない日が続き、久しぶりに読み終えた。
答えがみつかりにくい時代にあって、どう生き、考えていくのか。
玄侑宗久さんの考え方には、なるほどと思うことが多い。
p38:むしろ、「絶対こうだ」「これしか考えられない」といった確固とした信念を持たないことこそが、今は大切なのではないかと。
p40:無常とはこの際は、「いつまでも最悪は続かない」と現状が明るい方向に作用することを求めて、歩みを進めることです。そういう意味で、混乱とか混迷というのは大きな変化のときです。とりあえず提案したいのは、自分が違和感を持つ考え方や反対意見に積極的に耳を傾けること。揺らぎを受容すること。へんに「絶対この判断が正しいんだ」などと思い込まずに肩の力を抜いて、揺らいで、たゆたっていくことが大切ではないでしょうか。
p53:今回のことで、「ものごとをすべからく市場原理から見るような考え方は、もう耐用年数が切れました」とはっきりしたという感じが、私の中ではあるのです。もう金儲けのことばかり、損得のことばかり優先させて考える時代は終わりだよ、と。
一方、二人は、震災の生々しさを社会が受け止めるために、メディアは遺体を映すべきではなかったかという問題提起(p78)をしているのだが、遺族の方の心情も考えるとなかなかそうもいかないようにも思うし、この点は、議論のあるところだろう。
あと、鴨長明の『方丈記』が引用され、ラストの方丈の暮らしを愛しているときっぱり言った後で、待てよまだ執着しているなと揺れるという部分があるとのことだが、これまでタイトルは知っていても、内容は把握していなかったことに気づき、いつか読んで見たいと思った。
これからどうしていったらよいかという問いに、玄侑氏は、
p187:未来ばかりを思いめぐらすのではなく、もっと「今このとき」という時間を大事にしましょう、ということ。今が充実していたら、結果はおのずとついてきます。…揺らいだなりに、その場で軌道修正をしていけばいい。…相手に「親愛の情をあらわそう」と思っていれば、たいていのことはうまくまわっていくように思います。それは自分の利益や都合を相手に押しつけないということですから。
と改めて、「揺らぎ」の大切さを説いている。
揺らぎを大切に、今このときを大切に、生きていきたい。
{7/17-29読了、記入は31}