読書録

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テレビは原発事故をどう伝えたのか

テレビは原発事故をどう伝えたのか (平凡社新書)

テレビは原発事故をどう伝えたのか (平凡社新書)

この本の核心は、「メディアが本当に、市民の生命と健康と財産を守ったのか」を、実際の報道を発生から1週間、時系列に細かく検証して読者に問うている。一読すれば、政府からの大本営発表になりがちで、むしろネットの方に正しい情報が出ていたということを示唆する内容になっているが、先にこの読書録で紹介した「調査報道」が、可能だったのかどうか?著者が紹介している七沢潔氏のその後の番組など含め、極めて難しい課題だろうとは感じる。山崎記者の「糾弾されるべき」p103、水野解説委員の「最悪の事態が起きつつあります」p141など、厳しい状況の中でも、問いかけてきた部分はあったようにも思う。

本著では、p240〜でネットが存在感を示した背景と効果について、論点を整理している。
1.フリージャーナリストによる機敏な取材により情報の質の相対化が進んだ
2.既存メディアの編集情報に比較して、現場から第一次情報を伝えるネット情報が相対化させた
3.ネットの技術的条件整備で、ボトムアップ型の集合的知が成立する基盤が生まれた

また、現代社会の思想として、p234で、イタリアのアントニオ・ネグリを紹介している。
現代社会の変化の根底に、資本の論理を極端なかたちで進めたネオリベラリズム政策が行き着いた経済的・社会的格差と分断、貧困からの脱却を展望するとき、そのカギとなるのは「COMMON=共有」にあることを主張している」「他者と分かち合う共同の営みとして実践」

この問題はより根本的な課題であると感じているが、ネットがその解決策となるのか?引き続きウォッチしていく必要がある。

{4/18読了、記入は21}