メディアをつくる――「小さな声」を伝えるために (岩波ブックレット)
- 作者: 白石草
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2011/11/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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著者はOurPlanet-TVというインターネットTVによる情報発信で、最近、紙面でもよく見るようになったが、自らのテレビ朝日「映報クラブ」での体験やMXでの「アナザーウェイ(←村木良彦)」の挫折などを紹介して、ネットで「小さな声」を伝えることの意義などをまとめている。
先に紹介したネットでの情報発信の一つの形が、著者の試みだと思うが、「マスメディアが信頼を失った時代」p2とはいえ、どこまで存在感を示すことができるのか。オーマイニュースの日本版もうまくいかなかったなかで、なかなか厳しいような気もする。
著者の問題意識は明確で、以下のような考えを示す。
p19:個人個人が尊重される、より公正で平等な社会を目指すには、国益を優先しがちなマスメディアに頼るのではなく、社会を構成する個人が自ら情報の担い手となり、情報の多様性を確保するしかない。
p23:これまで差別されてきた側、多様な立場の人が、インターネットをはじめ、あらゆる言論や、表現の世界に参画できることは、極めて重要だ。多くの多様な人たちの声で、言論空間を豊かにすれば、きっと状況はぐっとよくなるだろう。
そして最後に、一人ひとりが今、メディアの主役になる必要があると訴える。p63
「今こそ、国家(総務省)がメディアを直接監督する制度を見直し、電波を市民に開放するよう求める時期にきているのではないだろうか。同時に、メディアに関する政策を検討する議論の場に、市民の代表者が参加するシステムを導入し、放送や通信の事業者だけを対象にしてきた現行の法体系から、人びとのコミュニケーションを促進させる仕組みに組み替えていくことが大切だ」
これらの問題意識&提起はわからないでもないのだが、根本的には、直接民主主義のような形で、国という大きなサイズの物事は決まるのか、利害調整を行う”政治”はどういう形がありうるのか、というところまで視野にいれないと、例えばすでに、市民一人ひとりが受信料を支払うという形での公共放送があるだけに、なかなか広がりは持てないのではないかとも考える。
{4/20読了、21記入}