- 作者: 山内昌之
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/10/01
- メディア: 単行本
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歴史をひもときながら、偉人たちのリーダーシップを紹介して、今の政治状況に対し苦言を呈している。ただ、将来に向かって希望を見出そうとしている姿勢も伺え、歴史を学んで現実に生かしていくことの大切さを説いている。
著者は、吉田松陰の歴史的思考法、山口多聞のような危機に積極策をとる胆力、リンカーンのような戦略的思考に基づく大局観、などさまざま紹介したうえで、最後に、リーダーの条件として3つをあげている。
1.総合力・・全体を見通す大局観
2.胆力・・何があっても動じない強い平常心
3.人心掌握力・・人をうまく使う能力
確かに著者の言うように、民主党の鳩山&菅の元総理2人は、「器ではなかった」のかも知れないけど、当該の本人たちは、何も悪意があってやったわけでもなさそうだし、結果として責任をおうべきなのが政治家ではあるが、では他の人だったらどうなのかという点を含めて、なかなか難しいように思う。「確固たる歴史観」が二人になかったかというと、それはそうでもないような気がするからだ。著者はまた、変革期のリーダーシップには軍人と通じるところがあるとして、何人かを紹介しているが、まさに今の時代にかけていたのは、そういう時代感覚というか、戦争への反省からその部分を遠ざけすぎていたからではないだろうか。
安全保障の軍事的な面など、きちんと議論・検証しなかったことで、平時の調整力ばかりが政治家の能力として求められ、有事や外交に対応できず、安全保障問題で、「抑止力」を知ったなどという発言になってしまったのではないか。そこにおいては、専門家というより、全体のレベルの底上げを図っていくべきではないかと思う。ただ、著者が最後に述べているように、この難しい時代において、リーダーシップのあり方は今後も問題になるのは間違いない。
{2/29ー3/4読了、記入は同日}