読書録

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挑戦 小池百合子伝

挑戦 小池百合子伝

挑戦 小池百合子伝

 「人と同じことをしてはいけません。もしも、おなじことをするのなら、だれよりも極めなさい。中途半端はダメp50」という母親の言葉が、小池現都知事の生き方に大きな影響を与えたのかもしれない。

 入学して間もない関西学院大学から、休学してカイロへ行くため、休学費が払えないからと退学し、その後現地へ行ってから大学に入るために準備をすることなど、この行動力には脱帽する。

 英語にアラブ語が堪能で、通訳して人脈を作りながら、昭和54年の「武村健一の世相講談」に出演(p98)するようになって、マクルーハンの「メディアはメッセージ」<テレビは感性に訴えるメディア>(p100)と学び、いまのわかりやすい言葉や、環境相時代の「クールビズ」、古くは昭和58年のトルコ風呂のソープランド改称運動にもつながるのだろう。

 さらに出演者にお礼状をだすなど人脈を広げ、日本新党、保守党、自民党郵政選挙の刺客第一号になるなど政界を渡りあるき、「細川、小沢、小泉と時の権力者に取り入る政界渡り鳥だp187」と揶揄されることもあるが、著者は、中田宏横浜市長の受け取り方として、「常に理念を実現するために舞台を求めているにすぎない」としている。

 本著では、父親・勇二郎が昭和44年に衆院選に出馬した際の人脈で、石原慎太郎、鴻池、浜渦など、いま森友学園豊洲移転で登場する方々がいるほか、昭和60年からの読書会「時雨の会」で、ジャフィ・サービス(ポピンズ)の中村紀子、オリックス宮内義彦、日興銀の黒沢洋、メルシャンン鈴木忠雄ザ・アール奥谷禮子、また総裁選にいたる中川秀直(外交的なセンスや現実国際政治の胆力があるp44)や総務省環境省での炭谷茂、ほかに猪口議員や中川泰秀議員、古くアラブ協会からの中山恵子や佐々木良昭など、これまでの交友関係などを伺い知ることができる。


発刊した河出書房新社のサイト⇒ http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309247762/


 本著では著者の思いも感じられるさまざまなエピソードが紹介されているが、印象に残ったものを、以下に引用してメモ。
◇企業にはつながりを生かす半島型と、本業と関係ない離島型のビジネスがあり、小池は半島型でいこうと思ったp177
◇昭和63年の築地魚市場の火事のニュースで、火が出てを、「へ」が出て現場は一時混乱しと読み、笑いが止まらなくなった。p121
日本新党から初当選してサファリルックで初登院し、「猛獣や珍獣、タヌキがいると聞きましたので」p149
◇平成10年5月に、子宮筋腫による全摘出手術を受けた際、入院中にフラッシュの鴨志田孝一カメラマンからの申し出に、一瞬で受ける判断をするp205
◇政治家になって以来、一度も人事で猟官運動をしたことはなく、いろんな人に助けられてきたが、人事でがつがつしてこなかったからだと思っているp233
◇孤を守る小沢氏と群れない小泉氏、子分を作るがいつしか離れていく小沢氏と、最初から作らない小泉氏、似ているようで決定的に違うのは明と暗の差p339+小沢は「理念カード」と「政局カード」で(p365)動くが、小池は2つのカードだけで人間を束ねられるものではないと考える
◇NEWSは北東西南の頭文字で、首相補佐官時代に安全保障で「サマルカンド大作戦」を展開したp345
◇ライス国務長官との会談あと、日本のライスといわれるが、マダムスシと呼んでもらえるかとジョークで講演p357
◇地位や名誉やお金にこだわると、判断力は鈍る。小池は、その最たる例は守屋ではないかと思っている…自分の家族さえ守られればいいと考えているし、あとはどうやったって生きていける・それぐらいの自信はあるというp359
◇政治の最大の責任といえば、国民の安心・安全を守ること、安全保障だ。そして社会の血液である経済を動かすこと。経済を動かすにはエネルギーが必要となるp372
◇小泉音首相にはキングメーカーになりたいとか利権をとって辞めたいという欲がなかった…小泉さんは自分の懐を肥やすことは考えていないということが、大衆に伝わっていたはずで、小池もいっしょ、小泉の潔さに似ているp393


 小池百合子氏の名前でこの読書録を検索すると、
2011-02-07 『「普天間」交渉秘録』 守屋武昌 著
2007-12-06 とてつもない日本/麻生太郎 著
2007-12-04 女子の本懐/小池百合子
http://d.hatena.ne.jp/MrBooPapa/mobile?date=20071204
 このうち、ご本人が書かれた分の読書録には、「もし女性の総理が誕生するとすれば、小池代議士なのかもしれないなあ、という気にもなる」と記しているが、10年がたって、都政運営で評価されれば、現実味を帯びていくのかもしれない。
(これを書いている際に、豊洲問題をめぐる東京都議会の百条委員会で、石原元知事の証人喚問が中継されている)
 なかなか読みごたえがあり、また勉強になる内容だった。

{2017/3/17-18読了、記入は20}