- 作者: 畑村洋太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/07/15
- メディア: 新書
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今回の東日本大震災による原発事故について、想定外というのは、原子力村の住人たちの傲慢さだと看過する筆致は鋭いと思う。想定外ということで思考停止することなく、それを想定しておくことこそが大切だということだ。
また津波対策でも、対応の違いに触れながら、対抗するばかりでなく、備えながら逃げることの重要性を訴える。その方が現実的なようにも思える。
著者が首都圏の大地震で心配しているのは、次の3つ。(p182)
1.川の下を走る地下鉄
2.首都高速の一本足の橋脚
3.地下自動車道の火災
現地・現物・現人(現地まで足を運び、現物を見たり触れたりし、現地の人から話を聞く)という三現を主義とする著者だけに、示唆に富む内容となっている。
p18:人は忘れるという大原則
p36:安全になったゆえに高まるリスクがある⇔リスク・ホメオスタシス理論
p54:「状況を観察しながら自分で判断して行動する」ことは、いまの時代を生きる私たち一人ひとりが、身につけておく基本的考え方。
p190:自然災害は、私たちがこの日本で生きていくかぎりは、避けては通れない宿命です。そうであるなら、むしろこれらと前向きに付き合うようにして、そこから多くの知恵を授かるようにしたいものです。そしてその知恵とは、自然に対抗するという方向ではなく、「いなす」とか「すかす」という発想をで使うべきではないでしょうか。
{2/18ー20読了、記入は24}