- 作者: 関谷直也
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2011/05/17
- メディア: 新書
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風評被害について、過去の事例を細かく分析している。
その原型は、1954年の第五福竜丸被曝事件で起こった放射能パニックに遡ることができるという。原子力、大量な報道、安全への不安という共通点があるという。
主な事例としてあげているのは、p26の表では、かつてのむつ放射能漏れ事故、水銀パニック、水俣市など、風評被害とされた事例は、敦賀原発事故、東海村JOC臨界事故、所沢ごみ焼却処理施設、ナホトカ号重油流出、O−157、BSE、鳥インフルエンザなど。
さまざまな分析が行われているが、p193で著者が紙幅の都合で対策についてあまり触れてこなかった、というのは寂しい。そこから5ページ分が終章として「どう立ち向かうか」について書いているわけだが、
・補償のあり方を社会として考えておくことが必要
・原子力発電そのものの経済的コストであることを認識
・「風評被害」のことを正しく知り、安全な食品や商品を買う
・放射性物質による汚染が存在する以上は、許容量をどうするか。
確かに難しい問題なのだが、あまりにも当たり前の結論すぎるような気がするので、さらなる研究の深化を期待したい。
{2/21ー25読了、記入は3/4}