- 作者: 荒木源
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2010/08/05
- メディア: 文庫
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タイムトリップものではあるけど、一作目に続くこの本も、期待に違わず楽しく読めて、読後感は心地よい。主人公の遊佐友也君が、万引きでつかまりそうになる話から入っていくのは、意外ではあったが、再び江戸時代で安兵衛と出会い、たくましく成長していく様は、青春小説のようでもある。クライマックスの将軍の前でプリンを作るまでの過程では、ノーベル賞の発見で聞いたことがあるような話や、韓国ドラマ・チャングムの料理対決のような場面まで思い起こしながら、ハッピーエンドに向かっていくストーリーは、なんとも安心感を覚えた。勝麟太郎が登場してくるのも、その後の歴史的活躍を思えば伏線となっているし、歌舞伎の海老蔵がらみと市中の嘆願書を持ってのデモ行進など、なんとなく光景が浮かぶ。一作目は映画化されたようだが、まだ見ておらず、この続編の映画化すれば面白い作品になるのだろうと思う。
本著の中で、一番好きなフレーズを引用p99、牢での安兵衛の言葉。
「落ち着いてなどおらぬが、ただ生きたいと強く念じてござる。今は望みがないようでも、生きているうちは何が起きるか分からぬ。死んでしまえばすべておしまい。取り返しがつかぬでござるからな」
{2/18読了、記入は22}