読書録

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悲しんでいい 大災害とグリーフケア

悲しんでいい 大災害とグリーフケア (NHK出版新書)

悲しんでいい 大災害とグリーフケア (NHK出版新書)

著者が向き合ってきたケアの経験に基づき、一つ一つの言葉が重みをもって迫ってくる。大震災で大切な方を失った人たちに、どういう言葉をかけ、向き合っていけば良いのか、さまざまなあり方が記されている。

まず、本著のしめくりの言葉p210から
「自分が心を開き、最初は手探りでもいいから、前に向かって歩いてみる。そうすれば、大切なものを失った悲しみの日々は、大切なものを見つけるための新しい明日につながります。その朝を迎えたとき、悲しみは希望に変わるのですー」
また最初の方p28から
「悲しみのくれる人たちが、近づいてくる「絶望というお友だち」と手をつないでしまうーそれを止めることができるのは、周囲にいる人たちです」

深い悲しみに陥ったとき、「出会い」を求めることを忘れず、手紙を書いたりブログで発信したりして、同じ体験を持つ人たちと共感し合うことで回復へ進んでいくというのは、自分の経験からもそう思う。悲嘆のプロセスとして、大ざっぱに、1「目の前のことに必死になる活動」2「深い悲しみの時期」3「受け入れ心癒され回復へ」の3つの時期を感じているという(p166)が、キューブラー・ロス氏やアルフォンス・デーケン氏の段階説をより簡易にすると、そうなるのかも知れない。大切なことは、「悲しみの心に寄り添い、自分を支えてくれる存在」(p167)であることは間違いない。

また、ケアする立場では、著者が書くように、一方的に飛び込んでいくのではなく、p93「『あなたの悲しみに寄り添うことを許していただけますか?』と、最初におことわりしたほうがいい」ということが大切になる。本著ではまた、「ケアする際の好ましくない態度」として、遺族への調査から7つにまとめているが、これは心しておかないといけない。(p94)
1.忠告やお説教など、教育者ぶった態度。指示をしたり、評価したりするような態度
2.死という現実から目を背けさせるような態度
3.死を因果応報論として押しつける態度(悪行の報いやたたりなどと解釈)
4.悲しみを比べること(子どもの死は配偶者との死別より悲しいなどとする見方)
5.叱咤激励すること
6.悲しむことは恥であるとの考え
7.「時が癒してくれる」などと、安易にはげますこと。もっぱら楽観視すること
実際に自分も、言葉をかけてくれた相手には悪気はないのだろうけど、4や7のような対応を受けたことがあり、つらい思いをしたので、よく考えながら言葉をかけないといけないと改めて思う。

著者が好きだということばは、「小さな希望」「ささやかな幸せ」(p183)。自分の人生を歩んできたことばは、「はい」「ありがとう」「ごめんなさい」(p187)だと紹介しているが、同じように、こうした言葉とともに生きていきたい。

{2/12-17読了、記入は22}