読書録

読書整理用のダイヤリーから移行しました19/1/26土~

『ブラック・スワン下』 ナシーム・ニコラス・タレブ 著

これだけ未来は読めないということが繰り返し書かれてくると、ではどうしたらいいんだ、ということを知りたくなるが、p66に、「将来が完全に予測できるという考えさえ捨てて、自分のやっていることの限界をいつも意識していれば、できることはたくさんある。予測ができないなら、予測ができないことを利用すればいい。肝心なこと:身構えろ!頭の固い予測には、痛みを和らげる癒しの効果がある。魔法の数字を見ていると、感覚が麻痺してしまうから気をつけよう。深刻な万が一のことは、全部備えておくのだ」と書いているが、なかなか難しい。

「ベル型カーブ」というガウス正規分布では、黒い白鳥は予測できないが、フラクタルなランダム性を使うと可能性が見え、灰色の白鳥まではなんとかなる。「プラトン派」の「月並みの国」を出発点とした一般理論を求めることに対し著者は猛反発し、「果ての国」を出発点に「懐疑的実証主義」に基づきながら、幅広い事象にわたって大ざっぱに正しいのをめざすというような対比アプローチの表があったが、それにしても自信の表れなのか、他の専門家に対する罵倒の言葉は激しく、ついていけないところがあった。

本著中、80/20のルールをまた見たが、べき乗則に共通した特徴として紹介し、もとは、イタリア全土の80%は全国民の20%が所有しているという観察結果を得たことで、仕事の80%は20%の人間の手で行われているという意味にとる人もいるという。

最後の方でほっとするのは、「電車に乗り遅れても平気なとき」として、自分の土俵を自分で決めれば、自分の人生がそれまでよりずっと思いのままになる。・・ありえないことが起こる危険にさらされるのは、黒い白鳥に自分を振り回すのを許してしまった時だけだ。自分のすることなら、いつだって自分の思いのままにできる。だから、それを自分お目指すものにするのである。(p218)」として、「小さいことでくよくよするのはやめよう」という、まあ、陳腐で当たり前なのだけど、そういうことでいこうかという気にはなる。

{読了同日記入}