- 作者: 重松清
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/10/31
- メディア: 単行本
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家族を描くとなんでこんなにうまいんだろうと、改めて思う。通勤電車の中で読みながら、思わず泣いてしまった。ヤスさんがアキラの務める出版社へ行き、入社試験の論文を読んで知った真実、海雲和尚の手紙「おまえは母に命を守られ、父に育てられ、たくさんのひとに助けられて、成人式を迎えるまで大きくなった。それをどうか、幸せだと思ってほしい。生きて在ることの幸せを噛みしめ、育つことの喜びを噛みしめて、これからの長い人生を生きてほしい。感謝の心を忘れないおとなになってほしい」(p322)
アキラが離婚した子持ち女性と結婚することになり、ヤスさんがいったんは悩みながらも、この子どものことを思って心を決めるところ、その後、赤ちゃんが生まれることになって、子どものことを思いやることば・・人に対する優しさが溢れているのだ。
不器用だけどまっすぐな父親のヤスさんこと市川安男さん。幼くして両親と別れて育っただけに、家族に戸惑いながらもその温かさ、幸せを感じる。中学生になったアキラが部活優先で反抗する場面など、今の自分の子どもとの関係をも見ているようで、その難しさもわかるような気がする。
この本を読むと、家族に優しく接したいなあ、と思いつつ、先ほど帰ってきたパートナーとある件で口論になり、現実は結構悲しい・・
(PR引用)
つらいときは、ここに帰ってくればいい。昭和37年、ヤスさん28歳の秋、長男アキラが生まれた。愛妻・美佐子さんと、我が子の成長を見守る日々は、幼い頃に親と離別したヤスさんにとって、ようやく手に入れた「家族」のぬくもりだった。しかし、その幸福は、突然の悲劇によって打ち砕かれてしまう―。我が子の幸せだけを願いながら悪戦苦闘する父親の、喜びと哀しみを丹念に描き上げた、重松清渾身の長編小説。
{地区センターから借り1/8読了、記入即日}