読書録

読書整理用のダイヤリーから移行しました19/1/26土~

みぞれ

みぞれ (角川文庫)

みぞれ (角川文庫)

著者があとがきに書いている「お話」が、僕は大好きだ。「世間の中から生み出される、暮らしと地続きの」物語は、著者がほぼ同世代なこともあって、僕としてみれば、ノストラダムスの予言にちょっぴり不安になった・そんなこともあったと懐かしく思ったり、つらかったけどやっぱり生きていこう、と思わせてくれる源泉のようなものだ。

そして重松さんの本を手に取ろうと思ったということは、今ちょっと落ち込み気味、ということでもある。世間話を少し覗いて、共感して、涙を流して、明日の糧に結び付けていくことができれば、ということなのか。たくさん読んできて、いろんなお話に心を動かされ、でも、記憶力の衰えなのか、どれがどの話だったのか、読後から1週間ぐらいたってこのメモを書き始めて、すぐに出てこないところも、これまた悲しい。だからこうしてメモを続けている。それでも許してくれますか?重松さん・・


(扉-要旨)
あなたに似た人が、ここにいる―。幼なじみの少女が自殺未遂、戸惑いながら「死」と向き合う高校1年生の少年。結婚7年目、セッカチな夫に最近うんざりしてきた妻。子供がいないとつい言えなくて、一芝居うつ羽目に陥った夫婦。どちらかがリストラされる岐路に立たされた40歳の同期社員。晩年を迎えた父に、複雑な思いを抱く43歳の息子…。ひたむきな人生を、暖かなまなざしでとらえた11の物語。文庫オリジナル短編集。

(目次-引用)
拝啓ノストラダムス様 , ←自殺未遂の幼馴染を救うためにカプセルをビタミン剤に入れ替えた心根がやさしい


正義感モバイル , ←今は落ちぶれた元アイドル女性とつくるバラエティ番組班、理不尽な要求にもきちっと最後は答える


砲丸ママ , ←やりたいことがあっただろうにと他人の死にも激しく泣く、だらだら生きていて申し訳ない


電光セッカチ , ←待つことが嫌いなダンナさんを嫌いになりつつも、なんとか仲直りへ


遅霜おりた朝 , ←タクシーに乗り込んだ少年少女、『人生が二度あれば』陽水の曲を引用して、二度目なら幸せになれるかも


石の女 , ←子どもがいないのにいると嘘をついてしまって、訪問されることになり一苦労。子どもだけの年賀はやめようと改めて思う。


メグちゃん危機一髪 ,←都会の川に現れたアザラシをめぐる騒動と、どちらかがリストラになるという二人の課長の心象風景「生き残る」には


へなちょこ立志篇 ,←まけとし が かつとし に戻るためホームレスに。そこには社内抗争の関係者がいて


望郷波止場 ,一曲だけ売れた羽衣天女=夕子さんを音楽バラエティにひっぱりだそうとするTVと取り巻く心優しい人たち

ひとしずく ,←40代になった夫婦がお互いに物語のある贈り物をしようとしたのに、邪魔な親戚が来てぶちこわしに。表題は奥さんが誕生した年につくられた高級ワインの贈り物が、最後はひとしずくしかプレゼントできなかったけど、思いやりに目からもひとしずく・・


みぞれ ,←声がでなくなった衰えた父を故郷へ見舞いへ行き、帰り際に、昔カセットに録音した元気な声を聞いて思い出す。ラストシーンでm「父は窓の外を見つめている。みぞれの降りしきるさびしい風景をじっと見つめる目に、涙が浮かんでいた」


{地区センターで借り1/3読了、記入は9}