読書録

読書整理用のダイヤリーから移行しました19/1/26土~

『「こころ」の出家』 立元幸治 著

自分の仕事や生活の意味が分からなくなり、生きていることの意味を発見することができなくなってしまっている(p187)時代に、組織に縛られない、いまここにいる自分・生きているという現実に目を向けるため、『もう一つの座標軸』を持ち、『二つの時計』を持っていきようと呼びかける。そのキーワードとして、自分の人生、簡素な生活、安静と閑暇境、内部へ向かう目、全体性の回復、花開く現在、あるがままの人生、過程としての人生、人生の意味、などを、ユング吉田兼好種田山頭火、ソローの生き方、考え方を通して紹介する。引用されているエンデの『モモ』はまだ読んでいないので、ぜひ読みたいものだ。午後の人生の入り口に立とうとする今、マニュアルを求めるのではなく、自分の考え方をしっかり持って、歩んでいくしかない。


(扉)
経済不況による停滞感、そこから生じる社会不安が、中高年の価値観を根底から揺るがせている。かつての経済的繁栄を支えた中高年は、「時代の転換期」と「人生の転換期」という二つの節目を同時に迎え、逃れようのない不透明感と逼塞感を感じつつ、深刻な「心の危機」に直面している。大きな変革の潮流のなかで、“癒し”“スローライフ”“ヒーリング”などのキーワードが溢れる現在、真に「豊かな時間」とはなにかを問い直し、充足した「生」を取り戻すための座標軸を探る。


(目次ー引用)
第1章 人生を振り返るとき―C.G.ユング 「中年」の発見
1ある「失踪」;
2午前の人生、午後の人生 ・・;
p21:ユングは、ここで人生の午後に、人生の午前に劣らない価値を認めている。(子育てや社会的地位を確立する「自然目的」⇒文化目的には指導書もマニュアルもない)


第2章 それぞれの「出家」―吉田兼好 「こころ」の主となる
1それぞれの「出家」;
2「こころ」の主となる・・;
p80:兼好(高齢になると、精神は衰えてくるが、しかし落ち着きと見識を持ち、優れた知恵を備えている)


第3章 「いま、そしてあるがまま」の人生―種田山頭火 ひとりがよろしい、されどひとりはさみしい
1風のごとく、雲のごとく、水のごとく…;
2自己を「掘る」 ・・;
p117:山頭火『やっぱり一人はさみしい枯草 やっぱり一人がよろしい雑草』


第4章 人生に必要なもの―H.D.ソロー 自分の「リズム」を聞く
1蟻のごとく…;
2「季節」のなかで ・・;
p176:「簡素な生活」を志向することが、モノにこだわる生き方、持つ文化に対して批判的になるのは当然である。ソローは、物質的な豊かさよりも、精神の高さを尊重すべきことを随所で語っている。


第5章 もう一つの座標軸―豊かな時間を求めて
1「寅さん」の中の私、「私」の中の寅さん;
2「過剰適応」という病い ・・;
p205:本来業務とは離れたところに、自分の時間、自分の時計を持っているということ、また、たとえ意識していなくとも、そこにそれを支えるもう一つの確たる座標軸という存在があるのではないかということである。そこでは、ある一つの目的のみのために、あるいは組織や仕事のみのために、現在という貴重な時間のすべてを犠牲にしない、「尊敬の念を持って自分自身を扱う」という生き方が実践されているように思う。


{図書館から借り10/05読了、記入は11}