読書録

読書整理用のダイヤリーから移行しました19/1/26土~

『よい世襲、悪い世襲』 荒和雄 著

よい世襲、悪い世襲 (朝日新書)

よい世襲、悪い世襲 (朝日新書)

政界における世襲に批判が集まる中、この本では、表題のように良いものと悪いものにわけ、論を進めている。
むしろ中小企業診断士としての経験から、企業経営で世襲をうまく活用するよう勧めているかに受け取れる。



(目次ー引用)
第1章 世襲を育む日本の風土
1.世襲の種類;
2.世襲と密接な関係のある家元・名跡・襲名制度;
3.「士農工商」の身分制度にみる社会秩序の維持の支柱;
4.寄らば大樹、「争い」を好まぬ国民性;
5.年功序列、終身雇用、滅私奉公を求める雇用システム;
6.世襲を支える人縁、地縁、業縁の連帯性と結束力;
7.世襲を支えるNo.2軍団の存在;


第2章 世襲の現状と特色・問題点
1.大企業の世襲
p40:トップが長期間社長の椅子に座っていると、社員や幹部は入社から定年退社まで一人の人間に「人事権」が握られているため、たとえ法令違反の事件や事故でもあえて負の情報をトップに挙げる勇気や体制ができあがらないという厳しい現実がある。
2.中小・中堅企業の世襲
3.有力業界の世襲
4.政界の世襲
5.特定業界の世襲;出版業、学校経営、


第3章世襲のメリット
1.長期的視野に立っての引き継ぎと後継者の育成;
p98:「世襲」という形でバトンを引き継ぐ際に求められるものは、能力、資質、人望(人柄)、健康等があり、なかでもその経営能力にはリスク管理を含めた問題解決能力、判断力、特に先見性を持った計画性と実行力が求められる。
2.経営理念、経営信条、家訓など「ハート」の引き継ぎで盤石な世襲を;
p107:共通するのは、1ピンチをチャンスに変えるもの、2時代を越えての戒めの言葉・現代版リスク管理の大切さ、3体験などから得た最高の知恵が凝縮されてことばとして表現されている点 の存在
p109:「弥生子の訓」(フンドーキン醤油)お醤油の味はよいの、お給料は満足するようになっていますか、銀行の借入金は減りましたか、
3.世襲を支える謝し、自分史の編纂で歴史の一頁を伝える;
4.幅広い人脈、支援団体など組織の引き継ぎとバックアップ体制;
5.後を継ぐリーダーが特定、そのため権力闘争や派閥争いとは無縁;
・・


第4章世襲のデメリット
1.人材不足、後継者不在の厳しい現実;
2.支配者を代表する世襲者たるリーダーが能力に欠ける場合、被支配者は常に下流に漂流させられる;
3.世襲者たるリーダーもた対する絶対化、偶像化;
4.特定の地位・肩書き・職業を安易に手に入れることへの不公平感、喪失感;
5.組織の論理や掟によって常に守られている;
p146:組織の論理の柱となっているのは、1年功序列の人事体系やシステム、2終身雇用制、3減点主義の人事政策、4秘書室・人事部などの一定のエリート集団の醸成、5情報の非公開、6世襲者及びその縁故者優遇のシステム。
・・


第5章揺れ動く世襲制
1.押し押せる市場経済M&A旋風
・・
p181:近江商人の経営理念「三方よし」=売り手よし、買い手よし、世間よし

p196:世襲が成功するか否かの大切なキーワードは、「挑戦力」「家族力」「地位威力」の3つ

{図書館から借り9/30読了、記入は10/07、11補足)