読書録

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『教育格差の真実』 尾木直樹・森永卓郎 著

教育格差の真実?どこへ行くニッポン社会? (小学館101新書)

教育格差の真実?どこへ行くニッポン社会? (小学館101新書)

論理としては通っているのだけれど、どこか違うなあと感じてしまう部分もあるのはなぜだろう。

自由と平等のどちらに重きを置くか、で平等を追求するあまり、共産主義がよいかというと、そうではなかったという感覚なのか。

「改革」は確かに軋轢をもたらしているし、格差の固定化などは決して良くないわけだが、一方で、「自由主義」を完全に否定するというのも難しいのではないか?

この著書でも触れられているよな、オランダ型のワークライフバランススウェーデン型のPISA重視教育、というのが、日本でもちゃんとできるのであれば、それは理想なのかもしれないのだけれど・・


(扉)
「小泉構造改革は、何を日本に残したか。過労死も自殺者の数も、餓死する人の数も増加しているし、東京など大都市にスラムが出現する日はそう遠くないと僕は思う」(森永)。「学力格差が地域間格差に直接つながっていく。一番学力が低い学区が公表されているので、そこに住むことを避けるんです。その結果、それが地価にも響いて下がってくる」(尾木)。自然現象でも歴史的必然でもない“ニッポンの格差”の真実を二人の論客が経済と教育の両面から、明快に解き明かす!

(目次ー引用)
第1章 深化する格差社会秋葉原無差別殺傷事件から見えるもの;なぜ大学で教えているのか ・・);
p31:自分の好きなことをやっている人間には「感情」がある
p42:安倍政権だったちょうど1年前、私はあるテレビ局だけにはほとんど出られなくなりました。


第2章 経済格差が教育格差を生む(どのようにして格差社会が生まれたのか;小泉構造改革を受け継いだ福田政権 ・・);
p73〜新自由主義の人たちがやっていることの特徴は4つ:1.規制緩和や民営化をどんどんやって、できるだけ小さな政府にして、全部マーケットに放り出して、強い人だけが生き残ればいいという弱肉強食の考え方が根底に横たわっている、2.金持ち層や大企業には思い切って減税して、その減収分を全部庶民に増税する。3.拡大した格差の下で、金持ち層だけに濃密な、あるいは高い学歴が与えられる仕組みに変えていき、一般庶民をどんどん無知にしていくというのも共通している、4.下層に落ちた庶民層というのを戦地に送って殺しちゃう


第3章 教育格差と偽装学力(自分の頭で考える能力はつくか;習熟度別学習の問題 ・・);
p106:PISA型学力とのずれ「日本の学力観は古い」→活用する力=リテラシー
p126:一番必要な学力とは、興味を持てる能力:村上龍「好きな仕事を選んだら幸せですよ」


第4章 格差時代をどう生きるか(この二〇年を振り返る;「ものづくり」のない国へ ・・)
p172:経済格差の是正や教育格差の見直しも両方ともやらやければいけない・・経済の世界でまず格差を縮めていく。最低賃金の引き上げと同一労働同一賃金の原則を厳格に適用するというこの二つの方策だけで、日本の社会は革命的によくなると思うんですよ。
p185:同一労働同一賃金に転換したオランダは1982年にワセナー合意:賃金抑制と労働時間短縮を推進:という労使協定によって社会保障制度改革を進めた


{地区センターで3/7借り16読了、記入は20}