読書録

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『自分探しが止まらない』 速水健朗 著

自分探しが止まらない (SB新書)

自分探しが止まらない (SB新書)

今の時代の著作や論文などから豊富な引用を交えて、「自分探し論」をまとめあげ、極めて面白かった。同時代論のインデックスのようにもなっており、ぜひ手元に置いておきたいとも思った。

ただ、あとがきで本人が記しているように、自分探しをする若者を過剰に攻撃し、囲い込むビジネスを醜く描いている一方で、「彼らをそこから救うような手立てについて何一つ提示できていない」うえ、著者本人が「やりたいこと」という「自分の気持ち」に忠実に「良いフリーター」になった(笑)というのであるから、結局、自分探しを続けていくしかないのかと感じる。

脳に気持のいいこと、やりたいことをやる、それがいけないことではないのだろうから、何が幸せかを考えながら、自分自身、「自分探し」が止まらない。

ところで、藤原紀香さんが離婚してしまったのは、仕方がないのだろうけれど、難しいものですね・・


(扉)
気がつけば、世の中には「自分探し」と密接に関わる現象が満ちあふれている。海外放浪やバックパッカーなどの“外こもり”、自己啓発ムーブメントやフリーター増加、路上詩人やホワイトバンドなどなど…。若者を中心として、「自分探し」が止まらなくなっている日本の姿を赤裸々に暴き出す一冊。夢を追っているうちに「自分探し」の落とし穴へ転落しないための社会の歩き方。

(目次ー引用)
第1章 世界に飛び出す日本の自分探し(スーパースターの自分探し;若者の自分探しの旅は肯定されている? ・・);
p14:須藤元気『神はテーブルクロス』:幸せというものの大半は境遇で決まらない。心のあり方で決まる
p35:岩本悠『流学日記』:もっと違う何か、もっと素晴らしい何かがあるかもしれない:p38悩み・葛藤が起きる→勇気づけられる言葉をもらう→ポジティブに自分が変わる というパターンの繰り返し
p45:自己啓発ニューソートの類にGTD(getting things done デビッドアレン) やライフハックがある
p46:自分探しのカリスマ高橋歩サンクチュアリ出版『毎日が冒険』
p50:自己啓発書が生み出すのは、一時的な高揚感、もしくは癒しのみである。またそれがなくなってしまうと・・延々と「自分探し」を繰り返すようになるだけなのだ。


第2章 フリーターの自分探し(フリーター問題は若者の甘えである?;フリーター前史 ・・);
p79:玄田有史は「中高年が既得権としての雇用機会にしがみついているために、若者が働けなくなっている と主張
p115:就職活動=自分の内面を知る旅=「自分探しの旅」ということになってしまう。


第3章 自分探しが食い物にされる社会(自分探しビジネス;沖縄に集まる自分探し ・・);
p142:桐野夏生『メタボラ』には自分探し系の人が登場する
p151:路上詩人の分野で名をうったのは、軌保(のりやす)博光。ポジティブシンキング
p170〜ラーメン屋で自分探し←作務服を着る


第4章 なぜ自分探しは止まらないのか?(誰が自分探しにはまるのか?;消費で自己実現が果たせない世代 ・・)
p176:かつての自分探しの典型は、「30歳前後の女性が、自分のキャリアアップや恋愛に疑問を感じ。突然海外へ語学留学にでかけてしまう」といったようなもの


{地区センターで3/7借り15読了、記入は20 作業中}