読書録

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『急増する犯罪リスクと危機管理』 小林弘忠著

毎日新聞の記者出身で、セコムの顧問をつとめる著者は、他にも幅広い分野での本を著わしているようだが、読んだのは今回が初めて。具体的な事例と統計資料を使って論を進めており、わかりやすい。それにしても、住みにくい世の中になったものではある。「安全」をいかに確保していくか、意識していく必要がある。

(目次-引用)
第1章 過去最悪、増大する犯罪リスク(犯罪は急増し、検挙率は低下する;犯罪は時代を映す ・・);
犯罪が増えてきた背景として、個々人の方向性がはっきりしなくなってきたこと、悪しき平等の弊害、対話の術が欠けてきていることをあげている。


第2章 ドロボウは常識の裏をかく(遊ぶカネほしさの犯行が増加した;万引きと割れ窓理論 ・・);
p48:犯罪は、たとえそれが軽微であり、凶悪ではないものでも、早くから芽をつみとっておかないと社会にとっては大事になると、・・ジジョージ・ケリングは、「割れ窓理論」を展開する。
p57:微罪が重罪の引き金に・・軽微で処罰の必要性がないと判断されておのは、・・微罪処分が適用される。
p71:ドロボウが苦手なのは音と光


第3章 凶悪化する暴力犯の動向(メル友殺人事件;危機管理の要諦 ・・);
p112:他人のまなざしを気にしない(視線不感症)的な風潮は、世間に対する意識の変化のためであり、企業の不祥事が発生するのもこの延長線上にある。
p120:(2000年6月の)製薬会社の毒物を入れたという脅迫事件は、模倣犯の防止には、即届け出、即公開というソフト面の対応が有効なことを示している。


第4章 新しいタイプの犯罪が多発する(凶悪犯に変身するストーカー;毅然とした対応が有効 ・・);
p150:身内への甘さが危機を招く


第5章 危機管理はどうあるべきか―安全の研究(ハザード管理とクライシス管理;パニックを避けるために ・・)
p154:リスクの二分類:ハザード(予知できない危機、不確実性のある危機)管理とクライシス(現実に起きてしまった危機、今起きつつある危機、可能性のある危機)管理
p160:クライシス管理の要諦を一言でいうなら、2W1H・・WHAT何を し、WHYなぜ するかを考え、HOWいかに して対処して実行するか。
p173:人は必ずエラーを犯すという「フールプルーフ」の認識が重要である。また、たとえエラーが発生しても大事にはいたらないよう危険防止策を講じておかなければならないとする「フィールセーフ」の考え方も求められている。この二つの安全工学の思考が、犯罪リスクの対策にも重視される。


{図書館で3/7借り12読了、記入は20}