読書録

読書整理用のダイヤリーから移行しました19/1/26土~

『なぜ社員はやる気をなくしているのか』 柴田昌治 著

なぜ社員はやる気をなくしているのか

なぜ社員はやる気をなくしているのか

改革を進めているのに不祥事が相変わらず続く組織というのは、個人の資質の問題なのか、組織風土に問題があるのか・・この本に書かれているように、内発的な動機が醸成されなければ、問題は決して解決されることはないのだろう。

それにしても、トヨタパナソニックなど、日本を代表する企業が、落ち込む業績に喘いで、大規模なリストラ策を発表しているが、こうした厳しい状況の中で、どう生きのびていくことができるのだろうか。




(目次ー引用)
p3:プロセスをつくり込むとは、頭で理解しているということではなく、身体が覚え込むようになる。めざす状態へと至るプロセスをツールや専門的な技術を使いながらみずから経験する中で、高品質のチームワークができるようになるまで反射的に動けるように、運動神経を鍛えていく。
p6:「組織を退化・腐敗させてしまう価値観」から「組織を変革・発展させていきやすい価値観」に変えていく風土改革が必要とされている。「人の内発的な動機を引き出す」という難しい問題に、本格的に取り組むことなしには何も本質的には変わらない。


プロローグ 何によって人は動くのか―「つくり込み」の変革プロセス;
p32:人の内発的な動機を引き出す方法論を欠いたまま、枠組みだけを強要しても、成果は見えてこない。仏はいくらでもつくれるが、魂が入らない。


第1章 なぜ社員は主体性をなくしているのか―内発的動機が失われた理由;
p41:対話や議論ができない上司の弊害ー組織に壊滅的な被害をもたらすようになってきている。
p47:一方的に叱責したり説教したり教訓をたれたりする古いマネジメントからは、答えを一緒に生み出すという関係は生まれてこない。
p50:対話を成立させようと思うなら、まず「一緒に困ろう」「一緒に答えをつくっていこう」とする姿勢を持つ必要がある。「相手の話に心の耳を傾ける」姿勢が不可欠なのだ。
p57:風通しの悪い組織は、建前が優先されている組織である。内容よりも形式を優先する組織なのだ。
p59:氷山の上の部分だけを変えようとしても、下の部分に邪魔されてうまく変化していかない。


第2章 閉塞感を打ち破る―進化の「価値観」を共有しよう;
p62:伝統ある守りの姿勢の強い企業であれば・・組織が古く、安定してくると、「安定を維持することが何より大事」という価値観が一般的になってくるからだ。・・この価値観が組織を停滞、退化、腐敗に導いていくのだ。
p66:まだ問題が小さいうちにそれを起こす(見えやすくする)こともトヨタ式の言葉で、「見える化」と言う。ポイントは、問題はなるべく初期段階で見つけ、それを応急処置で済ませるのではなく、問題の根本的な原因まで踏み込んで解決しようとするところにある。
p68:「問題がつねに顕在化しやすく、顕在化した問題が次々と解決されていっている組織」に変えていくことを、私たちは「変革すること」だと考えている。
p70:社員が仕事への誇りと働きがいを持ち、内発的な動機を持ちながら仕事をすることで、問題を解決し、業績を上げ続けていくことが、私たちのめざす「変革」なのである。
p79:コンプライアンスの問題が起きたり、さまざまな小さな不祥事などの問題が起きるのは、いい加減な仕事をしようと思っていたり、管理の手を緩めたりしたからではあい。組織の在り方自体にズレがあるために、次々と問題が起こるのである。「組織を退化させていく価値観」があらゆることに優先してしまう状況こそが、問題の根本にある原因なのだ。
p85:引き算の人間観から足し算の人間観へ・・研修でべき論では官僚主義大企業病


第3章 不満分子の隠れたやる気―関心を内発的動機に変える;
p109:(オフサイトミーティングなどで相談しあい協力し合える関係をつくっていくことから始まり、仲間と経営に対する信頼感を深め、何かを提案しようと思い立った時に、言いだしっぺが損にならないような周りからの支援が当たり前の状況を作っていく、そういう環境づくりを通して内発的な動機を引き出していくことが、風土・体質を変えることの中身なのだ。


第4章 経営と仲間への信頼感―内発的動機が引き出される条件づくり;
p138:セーフティネットとは、個人の一歩踏み出す勇気を下支えする安心感を生みだす、「経営や上司への信頼感」「同僚への信頼感」のこと。


第5章 リーダーシップからスポンサーシップへ―内発的動機を引き出すトップの役割;
p145:事実を大切にして、対話を繰り返しながら知恵を生み出していく創造的な時間が、働く喜びを取り戻し、組織に活力をもたらしていくのだ。
p156:一人ひとりが、自分で考え、問題を見つけ、解決していくことが、当然の価値観として共有されている組織は、環境の変化に対応して変革を続け、実績を上げ続けることができる。そしてそこで働く人たちは、仕事を通して成長し、仕事に喜びを感じ、仕事を通じて幸せになることができる。(・・こうした価値観の共有では皆が強い問題意識を持っているので、常に危機感を感じているが、だからこそ日常的に改善や変革がおき)こうしたDNAが組み込まれている組織が「進化する組織」なのである。


第6章 「仲のいいけんか」ができる組織―チームで内発的動機を喚起する;
p196〜:主体性と知恵を生かす会社へ変わる5つの条件:「セーフティネット」と「スポンサーシップ」に、「世話人」「参謀機能」「コアネットワーク」


第7章 変革の新しい進め方―最小単位で成功例をつくる


あとがき
p229:(官公庁の相次ぐ不祥事)が示しているのは、当り前のように社会の中に深く定着していた、建前と形式を隠れ蓑にしてきた既得権益の仕組みが、時代と環境の大きな変化の中ではほころびを見せはじめ、それの持つ不公正さが次々と顕在化しつつある、ということです。
p231:漫然と惰性で人生をおくっていしまっているような人々、進化ではなく退化を促進している人々が増えているというのが今の時代状況なのです。こういう人たちの特徴は、まじめに、義務感で仕事をこなしているということです。・・「考えることを省略した作業」になりがちです。・・大切なのは、いつも中身よりも形式なのです。
p232:一生懸命働いている人が幸せになれない世の中などそもそも存在する価値がない、と私は思います。この本を通じて、働く喜びを私たちの手に少しでも取り戻していくことができるなら、これほどの喜びはありません。

{図書館で1/18借り2/10読了、記入は2/14}